2009年03月30日
「わたしと薬」 (東京都・32歳 男性)
昨年、私の頭に無数のデキモノが現れ始めた。夏場だったので、アセモ的なものだろうとそれほど気にも留めずそのまま放置プレイをしていたのだが、夏が過ぎ去り秋になっても未だに存在するデキモノに少々不安を覚え始めたのである。
夏に汗をかいてデキモノが出来たのは分かるが、それが秋になってもあるのは異常事態であり、私の30年以上生きてきた生活の中で初の出来事であった。
しかし私は強い子である。
元来病院などには無縁の体であり、健康体に馬鹿がつくほどで風邪さえもが私の前を素通りしていくほどに丈夫な体であった。
その私に対して頭に出来たデキモノは、一向に去る気配を見せず、清潔に保っているのに存在し続けたのである。
季節は秋から冬へと移り変わるものの、私のデキモノは有るから無しには移り変わらず、最悪なことに事態は悪化し、デキモノは増え続けて私の頭の中でどんどんと増殖していったのである。
これはマズイと健康馬鹿だった私も危機感を募らせ、早急に対応をし始めた。
薬局へ行き、頭のデキモノに効く薬を買ってきて塗ってみるのだが、1週間経っても、2週間経っても一向に結果は表れない。
増え続けることはなくなったが、無くなりもしないという中途半端な結果に落ち込み始めた。
健康な時には気づかなかったが、体の一部だけでも異常が続くというのは、とてもストレスであり、気の滅入る事象であるというのを初めて体験した。
これが私のようなデキモノではなく、もっと重度の症状で体に異常をきたし、それによって生活もままならないような人達は、生活を送ることがどんなに辛いのかが少しだがきちんと理解出来るようになれた気がする。
私は小学生の頃から20数年間、歯医者以外の病院に通った事は一度もないのだが、一向になくならないデキモノにどんどんと気の滅入る思いが増してきて、このままではいけないと思い病院へと足を踏み入れたのである。
病院につき受付に行くと事情を聞かれたので頭にデキモノがあると伝えると、あっちのカウンターでまず見て貰えと言われ、その場所に行くとどうしたんだと聞かれ、頭にデキモノが出来たというと、ちょっと見せてくれと言われ見せると、皮膚科だと言われた。
近所にあるデカイ病院に来たのだが、実に事務的に実に素早く対応する様には、幼少期に行ったことのある小さな町病院とは全然異なるイメージを受けた。
皮膚科に行き、自分の順番はいつなのか分からないまま待ち続けること15分、私は呼ばれて扉を開けると誰もいない…、声を掛けると「こっちです。」と隣の扉から声が聞こえ、診察室をオロオロと動き回ってしまった。
市販の薬で治らないのだから余程酷い症状なのだろうと、お医者さんからの宣告をドキドキ半分ワクワク半分で待ち構えていると、「ニキビです。」と言われた。
あまりにも単純な答えを与えられ、それが1+1=2であると分かっていてもにわかには信じられないような心境をこの答えに感じた。
えっ、そんな単純な症例で私は悩み苦しみ日々悶々とデキモノと格闘していたのかと思うとなんだか気の抜ける思いであったが、その実、大した症状でなくて良かったというのが私の中に安堵感と共に押し寄せてきたのである。
医者から処方された塗り薬と飲み薬により、最初の一週間でじんわりと効き始めたのか、ニキビが少なくなってきた感はあったが、完全に治ったというような劇的な変化は見られなかった。
しかし、それから2週間。遂に私はニキビに打ち勝った。
薬のおかげで綺麗さっぱりニキビが頭からその存在を消し去ったのだ。
なんとも晴れやかで、常にニキビの心配をしなくていいというノンストレスは実に心地いい日々であった。
生まれてから大病も怪我もしたことのなかった私は、この出来事により健康がいかに大切か、医者の薬がいかに効き目があるのかがよく理解できた。
今後は、生活の上で健康に気遣い、もう若くない体を労わって生活していこうと肝に銘じるのであった。

