2009年05月21日
作文・応募作品 「わたしと薬」 山口恵璃 (東京都・11歳)
ゴホゴホ ゴホゴホ
昨年の五月、私は何日もひどい咳で苦しんだ。それまでも、明け方に咳が出たり、全速力で走った後に咳でむせたりすることはあったのだが、これほどのひどい咳は今まで経験したことがなかった。なにしろ、咳のしすぎで、息ができなかったり、吐いてしまったりしたのだ。
とにかく、手洗い・うがいが大切と思い、うがいをしようとするのだが、上を向くだけでむせこんでしまい、うがいができなかった。
睡眠をたくさんとろうと思っても、横になると咳がさらにひどく出るので、夜中に何度も目がさめてしまい、毎日、寝不足になってしまった。
薬を飲んでも変化がなくて苦しんでいるうちに、息をすると「ピュー、ピュー」と胸から笛のような音が鳴るようになってしまった。私の体の中で、何か恐ろしいことが起こっているようで、不安になった。両親が相談して、今まで通院していた内科ではなく、呼吸器専門の医院を受診することにした。
病状を伝えて問診してもらったとたん、先生は
「えりさんは、喘息ですね。」
と、あっさり告げた。
「え!!」
と驚く、母と私に、
「喘息は、もしかしたら治るかもしれないけれど、これから一生、付きあっていかないといけない病気になるかもしれない。全く、予想はできません。」
そう言って、気管支を拡張する『ステロイド吸入剤』の説明をしてくれた。先生から、長期間の服用をしても副作用は心配ないことを何度も念押しされると、逆にステロイド剤に対する怖さを感じた。それに、この薬をこれから一生、飲み続けないといけないんだと思うと、自分がすごく病弱になったようで、目の前が真っ暗になった。
家に帰って、初めての気管支拡張剤の吸引。大きく息を吐いて薬を吸い込み、一旦、呼吸を止める。そして、静かに、静かに息を吐いていく。
「咳よ、止まって!」
と念じながら、長く 長く息を吐いた。
その夜。なんと、一度も咳で目覚めることなく、朝までぐっすりと寝ることができた。うれしかった。咳からの解放感が私を包んだ。
母も、
「夜中に咳がほとんど出てなかったね。薬の力って、すごいんだね。もっと早くに受診すればよかったねぇ。ごめんね。」
と言った。
数日後、心配していた胸で鳴っていた笛の音も止まった。
あれから、一年。私は、毎日、気管支拡張剤を吸引している。(一生、この薬を飲み続けないといけないんだ)というネガティブな気持ちはなくなって、今は、この薬と仲良く二人三脚で過ごしていこうと思っている。もちろん、正直に言えば、いつか薬の必要ない元気な身体になったらいいなと願ってはいる。けれど、目の悪い人がメガネを必要とするように、喘息の私は、苦しい咳から救ってくれるこの薬を必要としている。薬の力を借りて、これからも思いっきり運動したり、いろんなことにチャレンジしていきたいと考えている。

