2009年06月01日
「わたしと薬」 (千葉県・49歳 女性)
子供の頃から体力のある方ではなかった。無理をすると、すぐに寝込んでしまう。だがシリアスな病気もしていない。
何となく自分には『低飛行』という表現がピッタリ当てはまっているように思える。着地しそうで、なかなか地に足のつかないハングライダーのように、ふら~と飛んでいる感じなのだ。見た目にはそう見えないから、ちょっと、かなり?損しているかもしれない。なぜ私は、白いワンピースでピアノを弾く深窓の令嬢風に生まれつかなかったのだろう。「低飛行だけど、なかなか元気。大丈夫、大丈夫。」心の中でそう言って、いや、時には口にも出して薬を飲み込む。
私は2種類の常備薬を持ち歩いている。いつからオツキアイを始めたのか覚えていないが、それもこれも、偏頭痛持ちで、且つ、すぐ蕁麻疹が「こんにちわ」してしまう体質なのだ。発疹は時刻違わず、場所もサイズもまちまちで、ほぼ毎日。1日に2回発疹してしまうこともある。足の甲に出たと思えば、太もも、手首、腕、お腹、背中など、神出鬼没と言ってもよいだろう。だが有り難いことに、顔には出ない。面の皮が厚いからなのか? これ以上見栄えが悪くなると困るからねと、遠慮してくれているのか、その辺は定かではないが、なんとも不思議なのだ。
血液検査を受け、アレルギー反応テストも受けてはみたが、どうやら原因は分からず仕舞いで、私はこっそり「奇病」と呼んで楽しんでいる。なぜならお医者さまが調べて下さって分からないものを、私が持ち合わせていること自体が面白い。心配をしていないと言えば嘘になるが、長年付き合ってきた自分の体だから、ネガティブよりはポジティブに考えたいのだ。
「あ、出た。」と思った瞬間、薬を飲む。すると30分後には、あれほどポリポリ、ガリガリ引っ掻いていたにも関わらず、蕁麻疹は跡形も無く奇麗に消えてくれる。薬とは、「まるで魔法だね。いや、正義の味方かも。」と言いたくなる。そして毎日ご厄介になっている薬を飲む度、子供の頃ワクワクしながら見ていた『ウルトラマン』を思い出すのだ。薬は私の体内で、何かの病原菌を相手に一生懸命戦ってくれるのだろう。30分というリミットの中、菌を押さえつけたり、抱え込んだり。胸元のカラー・タイマーがピコピコしたら、慌てて腕を十字にして、スペシウム光線を出すのかもしれない。薬は戦っている。私の中で、世界中の薬を必要とする人の体内で。そして誰からもお礼を言われずとも、任務を遂行した後、「シュワッチ!」と、どこかに消えて行くのだ。

