2009年06月24日
「生きるための薬」 小林真知子(長野県・28歳 看護師)
「こんなに痛いならもう死んじゃいたい。」とベッドの上で身の起きどころがない様子で転げまわったり、寝たり起きたりを繰り返している患者さんのそばで、ひたすら背中や腰をさすり薬が効いてくるのを待っていた。
昨年の6月、28歳で子宮頚癌が分かり抗癌剤治療や放射線治療を頑張ってきた。そんな患者さんに、「頑張って!」とはもう言えなかった。何を言ってあげたらいいのかそれすら分からず、ただただそばにいてあげることしかできなかった。しばらくして、ようやく麻薬の点滴の効果が現れ、眠り始めた。穏やかな表情であった。
その後の治療により、痛みさえ取り除けば、在宅へ戻ることができそうな状況までに回復した。
今までも、麻薬と痛み止めを内服しながら、日常生活を送ってきていた。大好きな彼氏と一緒に暮らし、バイトをしたり、大好きなディズニーランドへ行くなど薬と共に生活していた。その患者さんにとって薬とは、「生きるための薬」だったのだと思う。
私は看護師として、「また、入院してきたときのような痛みが出るのではないか」と不安な気持ちを抱えている患者さんに対して、薬の量が足りているだろうかとか、のみにくくないだろうかとか、その都度評価し、患者さんが再び望む生活が送れるよう、点滴から内服薬への切り替えを医師・薬剤師・他スタッフと相談しながら進めていった。そして再び種類や量を調整した「生きるための薬」を持って退院することができたのである。
今までは、薬とは、その時の辛い症状を改善するものと考えていたが、たくさんの患者さん達と出会い、「生きるための薬」として、くすりはとても大切で大事な、そして欠かすことのできない素敵なものであると今は実感している。

