2009年07月22日
「わたしと薬」 (岐阜県・52歳 女性)
私はもう20年近くリウマチを患っている。30歳そこそこの私に医師が告げた病名。その病名を胸に抱え、本屋に駆け込んだ日を今も忘れることはできない。現代の医学では原因が解明されていないこと。病状にはタイプがあるものの必ず進行していくこと。そして決定的なことは、治す薬はないこと。医学書の字が段々ぼやけ、ぼたぼたと涙が溢れてきた。その後どうやって家に帰りついたかの記憶はない。信じられなかった。夫も年老いた両親も一緒に泣いた。私には夢があった。これからその夢に正にチャレンジするところだったからだ。
症状は確実に進んでいった。手のこわばりや腫れはもちろん、ひざに水が溜まり歩くのも困難になってきた。病院でもらう痛み止めの薬だけが頼りだった。おふろの時間が長くなった。家族に心配をかけないように泣くにはここしかなかった。シャワーを出しっぱなしにして嗚咽をあげて毎晩泣いた。足を引きずりながら歩く姿に人目が気になった。夫は黙ってその肩を抱いてくれた。幼い二人の娘は私に決して荷物を持たせたりせず、どんな時も引きずるようにしても幼い腕にスパーの袋が食い込むようにしながら荷物を持ってくれた。
そしてそんな生活が15年流れたころ、新しい薬が認可された。私にこの薬は驚くほど利いた。画期的だった。痛みもみるみる取れてきた。足に水がたまらなくなってきた。それにつれ足を引きずらなくても歩けるようになった。私の心をいやしてくれるものに、夫や家族のいたわりや優しい気持ちに勝るものはない。しかし病気の苦しさから救ってくれるものはやはり医学と具体的に私を治療できる薬だ。変形した体は戻らない。けれど痛みを和らげ出来ることが日に日に増えてきているこの体を感じるたびに、私は生きる喜びを改めて感じ、楽しいと思えるようになっている。私にも家族にどうしようもできなかった病をこの薬が救ってくれている。
私のように病に苦しみ生きがいをなくしてしまった人が世界中にたくさんいる。その人たちのため薬の開発を一生懸命やっていてくれる人たちがどこかにいる。私はその人たちのお陰でまた元気な心と体を取り戻しつつある。心から感謝している。その人たちが開発してくれた薬のお陰で世界中に命をすくわれ、私のように生きることにまた張りを持って行くことができる人たちが一人でも多くなることを心から望んでいる。この薬に本当に感謝している。今は、かなえられなかった若い日の夢に変わる、この感謝の気持ちを無駄にしないような社会にお返しができることは何かないかと考えをあれこれ巡らしている。こんな日が私にやってくるなんて・・・!。ありがとう。薬!

