premire_top

不妊治療へ情熱を注ぎ、
その感動と教訓を後進に伝える


医療法人 ヒューマンリプロダクション
つばきウイメンズクリニック
 
なべた・もとお
院長 鍋田 基生 先生
 
【経歴】
医学博士。久留米大学医学部医学科卒業。愛媛大学医学部附属病院を経て現職。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医。
tsubaki_top
 

 
 

顕微授精の世界に惹かれ、早くから不妊治療に携わる

 つばきウイメンズクリニックの鍋田基生院長は、不妊治療を目指したきっかけに、世界初の顕微授精のニュースを聞いた時のことを挙げる。当時はミッションスクールに通う高校生。週に1回生命倫理の授業を受けており、人間の誕生や神秘について多感な時期を過ごしていたという。「人間の手で卵子の中に精子を挿入して受精させるという、いわば『神の領域』のニュースを聞き、大きな衝撃を受けると共に、どうしても自分で挑戦してみたいと思うようになったのです」。鍋田院長は研修医となった直後から不妊治療を専門に扱うグループへの加入を希望し、一般的な産婦人科の手技を磨きながら、同時に不妊治療のトレーニングを受け、研鑽を重ねてきた。
 
 「今も顕微授精の世界が好きです。不妊治療の現場では、無精子症や精子が発見できない方など、顕微授精の手技自体が難しく、受精に至るまでに患者さんも医師も苦労することがあります。卵子に精子を注入して翌日確認するのですが、受精していた時は心から嬉しいものです」と鍋田院長は実感を込めて語る。医学部の学生の指導経験もあり、その感動と独特の世界観を伝えてきたという。「第一子の治療に携わった患者さんが、第二子を希望し、2・3歳ほどの子供と一緒に来院することもあります。『あの時顕微授精した子がこんなに大きくなったのか』と実に不思議な感覚と感動を覚えるのです」
 
 鍋田院長は後進に対し、感動と共にモラルを伝えることに努める。「培養器の中は37度ほど、室温が24・5度ほどに保たれており、温度変化に弱い卵にとって室温はとても寒い。培養室で精子や卵子、受精卵を見続けた時に、受精卵を生命と捉えていると、培養器から出した時も少しでも早く暖かい所に入れてあげようと行動します。しかしモノだと思うと扱いがワンテンポ遅れます。培養部門では、受精卵を生命と捉えているかどうかが、非常に大切だということを伝えていきたいのです」

人気記事