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患者の感謝で取り戻した熱意で
諦めないがん治療を追求する


医療法人財団恵仁会
藤木病院
 
ふじき・りゅうすけ
理事長 藤木 龍輔 先生
 
【経歴】
1979年、北里大学医学部卒業。1983年に医療法人恵仁会理事長就任。2013年より金沢大学医学部環境生態医学講座講師、兵庫医科大学先端医学研究所細胞・遺伝子治療部門講師、富山大学医学部基礎放射線講座非常勤講師。
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患者の言葉で取り戻したがん治療への情熱

 富山県において、膵臓がんや原発不明がんのような難しい症例を中心とするがん治療に挑み、金沢大学医学部でも教鞭をとっている、藤木病院の藤木龍輔理事長。そのように熱意を持ってがん治療に臨むようになったのは、15年程前に接した患者がきっかけだった。当時、がんは進行してしまえば治療成績の良い疾患ではなく、抗がん剤の選択肢は少なく分子標的薬をつかう事もできなかった。また、副作用も問題視されていた。藤木理事長も治療の限界を感じ、意欲を失いかけていたという。その時、高齢の男性が体調不良を訴えて来院。藤木理事長が診断したところ、末期がんで手の施しようがない段階に至っていたことが判明したのだ。
 
 その患者を藤木理事長は治療したものの、結局2カ月くらいして亡くなった。ただ、その直前に、『先生に診てもらえて嬉しかった。心残りはない』と言われたことで、もう一度がん治療に力を入れることを思い返したという。「キリスト教において、聖ペテロが迫害から逃れるためにローマを脱出した際にイエスと出会い、処刑を覚悟で再び戻ったというエピソードがあります。私もその状況に近い思いを抱き、がん治療に生涯を捧げようと思いとどまりました」
 
 

最新治療の研究にも努めがん治療の発展を目指す

 藤木理事長ががん治療に再度注力し始めてから現在に至るまでに、治療法も目覚ましく進歩してきた。抗がん剤だけを見ても、がんの増殖や転移に関わる分子をピンポイントで狙い撃つ分子標的薬など、従来よりも高い効果が見込める薬剤が登場している。そうした最新の薬剤も積極的に活用しつつ、遺伝子の異常という、発がんのメカニズムにも着目した治療の研究も進めているという。
 
 現在では、末期がんの患者も積極的に受け入れ、熱意を持って延命のために力を尽くしている藤木理事長。「今はまだ残りの時間を1年、2年と延ばし、心の準備をさせてあげるくらいしかできませんが、薬物療法や遺伝子治療、放射線治療などの進歩により、いずれはより高い治療効果も目指していけるでしょう」と、諦めることなく最善の治療を探求している。

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