ダビンチによる機能温存手術を軸に
患者にあわせた前立腺がん治療を

関西医科大学附属病院 腎泌尿器外科


関西医科大学 付属病院教授 腎泌尿器外科 木下 秀文

きのした・ひでふみ●医学博士(京都大学)。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医。
 
 
 
 
 

腹腔鏡手術の豊富な経験をロボット支援手術に生かす

 関西医科大学附属病院では、前立腺がんに対し、超低リスクの患者さんへの監視療法から、ダビンチシステムによる手術、放射線治療、薬物療法 など、多様な治療法を使い分けている。中でも早期がんで神経の温存手術を積極的に実施するのが大きな特徴だ。手術の合併症として尿失禁がある。原因の一つは、括約筋や勃起能を調整する神経の損傷だ。従来、術後6カ月くらいまである程度の失禁が残ることも多かった。「神経温存手術により、2018年には4割位の方で、退院時にほぼ失禁のない状態を実現でき、今後、過半数の方で失禁がない状態での退院を目指しています。性機能は年齢や術前の状態で異なりますが、特に50歳代の性機能のある方では、神経温存手術が大きな役割を果たしています」と、木下秀文医師。
 
 神経温存は適切な剥離層を保ちつつ切除を進め、周囲の神経を含めた構造を保つ繊細な操作が必要だ。「日本で最初から前立腺がんの腹腔鏡手術を導入し、700例以上(※)行ってきた経験で、円滑に質の高いロボット手術に移行できました」。機器の動きに制限がある腹腔鏡手術の経験を、先端が自在に動くロボット手術に生かし、より精度が高い神経温存を実現。その技術は進行したがんでも役立ち、腹腔鏡手術や開腹手術と同等以上の質を保ちつつ、体への負担を抑えている。今後、従来薬物療法や放射線治療を選択された症例に、少しずつ手術の適応を広げることも重視するという。
 
 現在、腎がんの部分切除でもダビンチ手術を開始。それによって阻血時間が短縮され、腎機能低下を防げるという。「手術の質において症例の多さは非常に重要な因子になると思います。近畿では常にトップレベルの件数の手術を行っています。さまざまながんで根治を重視しつつ、機能温存手術、低侵襲手術の適応を広げたいと考えています」    
 

 

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