病気(がん)の治療と就労の両立

 
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がんは国民の2人に1人が発症するといわれ、誰にでも身近な存在といえます。ただ、もしがんと診断されても、毎日の生活は続いていきます。近年では医療の進歩に伴い、治療法が大きく変化し、がんになっても仕事と治療を両立する人が増えています。

 
■監修 産業医科大学保健センター
    副センター長

    立石 清一郎 医師
    

治療と就労の両立を望む人が増加

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医療の進歩により、がん患者の5年生存率が60%を超える時代になりました。それに伴い、がんと診断された後でも、治療を続けながら就労したいと考える方が増えています。近年の調査によると、就労しながらがん治療のために通院している人は、30万人を超えると推計されています(※1)。その一方で、仕事とがん治療の両立が困難だとする方も多く、患者の約7割にのぼります(※2)。実際、がんの診断を受けた当時就労していた人の約4分の1が退職し、半数近くが収入減となっています(※3)。
 
就労と治療の両立を目指す際、患者が直面する問題点は多岐にわたります。例えば通勤・仕事中の抗がん剤の副作用は、特に初めての場合、どの程度なのか不安になるものです。がん治療を受けた方は一時的に疲労しやすくなる傾向がありますので、仕事への影響が出るかどうか、心配になる患者も多いことでしょう。また、職場関係者とのコミュニケーションもデリケートな問題です。治療のために同僚に仕事を肩代わりしてもらう時などには、周囲に迷惑をかけているような気分になりかねません。一度退職した後、体調が回復したので再就職を希望した時に、通院・治療していることや、副作用について話すべきか悩む方も多いでしょう。
 

一人で悩みすぎずに、情報の収集や周囲との相談を

これらの悩みに対しては、まずは適切な情報の収集や、予想される状況の可能な限り正確な把握、関係者との相談が大切だといえます。例えば公的制度や会社員として持っている権利、治療に関する情報などについて、知人や本、雑誌、テレビやインターネットなどを活用し、調べていくと良いでしょう。また患者会に参加し、他の患者の経験を知ることもおすすめです。
 
もちろん、会社と随時相談していくことも重要です。患者本人に就業上の措置や治療への配慮を行うことで、周囲の同僚や上司に一時的に負荷がかかることもありますが、必要な情報に限定した上で、可能な限り情報を開示し、理解を得ることが大切です。
 

頼りになる、がん相談支援センター

もう1つ知っておきたいのが、がん相談支援センターの存在です。がん相談支援センターはがん患者の就労に関する相談支援を行っており、必要に応じて社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントなどが対応してくれます。近隣の相談支援センターの情報は、国立がん研究センターが運営している「国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス」のサイト内で検索できることができますので、参考にしてみると良いでしょう。
 
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※1「厚生労働省:平成22年国民生活基礎調査」
※2 2013 年、内閣府「がん対策に関する世論調査」
※3 2012 年、厚生労働省研究班「治療と就労の両立に関するアンケート調査」