在宅医療の活用

 
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通院が困難な患者などに対し、その自宅を医師や看護師、理学療法士などの医療スタッフが訪問して行う医療活動を「在宅医療」といいます。超高齢社会を迎えた我が国では、介護が必要な高齢者が急増しており、それに伴い在宅医療への注目が高まっています。

 
■監修 在宅療養支援診療所連絡会会長
    新田クリニック 院長

    新田 國夫 医師
    

在宅医療が注目されている理由とは


身体機能の低下などで通院が難しくなった患者に、その自宅を訪れて医療を提供することを在宅医療といいます。急病時に駆けつける往診と異なり、前もって定めた日程に沿って定期的な診療を行います。
 
在宅医療を必要とする人は、日常生活での行動性が低下した高齢者や、神経難病や外傷後遺症などを抱えた小児・若年の障害者、悪性疾患の末期患者が中心です。高齢化が進行する日本では、2025年問題(団塊の世代が後期高齢者となる)や2040年問題(年間死亡者数の増加がピークを迎える)などの発生が予想されています。それに伴って、要介護の高齢者が急増するものの、核家族化によって通院介助者が不足し、大部分が通院困難者になるため、在宅医療のニーズが高まると考えられています。
 
また医療技術の大幅な進歩に伴い、救命できたものの障害が残った、重症心身障害児(重度の肢体不自由・知的障害が重複した小児)や、高度医療依存児(日常的に医療機器・医療ケアが必要な小児)が増加している点も、注視されています。
 
人工呼吸器などの医療ケアを必要としながら、自宅で生活している小児の数は、正確には把握されていません。こうした小児をサポートしていくことも、今後の急務とされています。
 
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地域一丸となったサポートが推進される

これらに対応するため、政府は在宅医療連携拠点事業などのさまざまな政策を掲げています。同事業では、在宅医療を提供している機関を連携拠点とし、地域の医師や看護スタッフ、ケアマネジャーなど医療・介護の多職種が協働してサポートする体制の構築によって、地域における包括的・継続的な在宅医療の提供を目指しています。加えて、要介護となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを営めるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体的な提供を目標とする、地域包括ケアシステムの構築も進められています。
 
実際に在宅医療を希望するときには、市区町村に設置されている地域包括ケアセンターや在宅医療相談窓口を活用することをお勧めします。在宅医療を始めることに際し、多職種連携や介護保険制度について患者や家族の相談に乗ってくれるでしょう。その他、介護支援事業者や訪問看護ステーション、在宅介護支援センターに加え、自治体の介護保険担当窓口や医師会、保健所などにも、相談の窓口が設置されています。
 
また地域の医師の中には、定期的な往診に応じてくれる医師もいます。かかりつけ医がいる時は、まず一度、相談してみると良いでしょう。
 
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