脊椎内視鏡下手術の
日本における先駆け

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医療法人スミヤ
角谷整形外科病院

 
院長 吉田 宗人
 
よしだ・むねひと●1978年、和歌山県立医科大学卒業。同大学整形外科助手、社会保険紀南綜合病院整形外科部長、米国ベイラー医大の脊椎外科留学、和歌山県立医科大学医学部整形外科学主任教授などを経て、2017年4月より現職。
 

脊椎疾患の低侵襲内視鏡下手術

整形外科領域における低侵襲治療の代表が脊椎内視鏡下手術である。治療対象は脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの脊椎脊髄疾患で、従来法と比較して切開範囲が小さく、また近接して観察できることから病変を確認しやすいため、正確なヘルニア摘出や神経除圧が可能となる。骨切除や痛み、合併症や出血量も少なくてすむ。患者の負担は大きく軽減され、早期の社会復帰が可能となるなど、多くの有用性が挙げられる。
 
角谷整形外科病院に2017年4月より就任した吉田宗人院長は、前職である和歌山県立医科大学整形外科主任教授の時代に、国内で先駆けて脊椎内視鏡下手術を行った。以来、同手術の対象部位は当初の腰椎から頸椎、胸椎へと広がり、同院でも2016年には全脊椎手術477件のうち441件と、その大部分を占めるに至っている。今後も同院を中心に複数の医療機関を組織化し、低侵襲治療における手技の向上と標準化、教育体制の充実を図るという。
 

複数の医師によるタンデム手術で短時間治療を実現

同院には現在、脊椎内視鏡下手術を高いレベルで行うことが可能な技術認定医が4名在籍する。この体制により、患者一人当たりの手術時間の短縮が実現されている。その好例がタンデム手術で、多椎間など複数の病変を持つ難症例に対し、医師複数名が別々の内視鏡下手術を同時に治療する。「頸と腰の椎間7カ所の手術を3人で同時に施行したのが最多病変の例です。手術時間は2時間余りと従来法に比べて大幅に短く、出血も約30㍉リットルときわめて少ない。この患者さんは手術当日の内に動けるようになりました」(吉田院長)。
 
ここ数年間だけでも内視鏡下手術の手技は大きく進化しているという。「たとえば重篤な脊柱管狭窄症では、病変部へのアプローチを工夫することで正常な筋肉や関節は残し、悪い部分だけを取る、理想に近い手術が実現しています」(吉田院長)。こうした進歩を可能としたのが、内視鏡に特化し、精巧な手技ができるデバイスの発展である。現在メーカーと協力して内視鏡システムの開発を進める吉田院長は、「4Kなどに対応したさらなる高精細画面や、新しい内視鏡操作、吸入や洗浄などの新機能など、将来の内視鏡手術はより精巧かつ安全、容易なものになります。ナビゲーションと内視鏡の融合システムによる術式の実用化も確かでしょう」と期待を込める。
 
また伝統的にスポーツ医学が盛んな同院では、その特徴を生かした医療の提供も積極的に行われている。肩関節疾患、膝関節疾患などスポーツ傷害に対する肩関節鏡や膝関節鏡などの関節鏡視下手術はその代表で、「鏡視下手術で低侵襲治療という点では脊椎内視鏡下手術と同様です」(吉田院長)。加えて、腱板断裂に対するリバース型人工肩関節置換術や、高齢者の股関節・膝関節に対する人工関節置換術など、多くの実績を挙げている。
 

医師2人が別々のモニターを見ながら隣接する病変部の内視鏡下手術が行えるタンデム手術

医師2人が別々のモニターを見ながら隣接する病変部の内視鏡下手術が行えるタンデム手術

一般患者の「スクリーニング機関」を極める

今後の同院の姿について吉田院長は、低侵襲手術への取り組みだけでなく、最先端技術・機器の開発・改良を行う拠点、そして内視鏡手技を学ぶために国内やアジア各国から集まる人々の教育施設を構想している。「中長期的には、こうした技術をアジア圏全域のみならず世界全体に広げていきたい」
 
その一方で吉田院長は、肩や腰、膝の痛みに悩む患者のための「スクリーニング機関」としての役割を極めたい、とも話す。「多くの人に情報提供を含めた診断を行い、手術しなくてもリハビリなどで治癒できる機会を、当院を通じて増やしていきたい」。その目標は高邁かつ多岐に及んでいる。
 
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Information
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