【次世代を担う低侵襲手術の名医たち】
脳疾患治療:石井 暁 医師

 

脳血管内治療の発展と共に歩み
最新手技の確立に力を尽くす

 
 
■取材
京都大学医学部附属病院
脳神経外科 講師
石井 暁 医師
 
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黎明期から脳血管内治療に触れその普及を確信する

腕や太ももから通した管を通じて、脳内の血管を治療する脳血管内治療。近年では、脳動脈瘤や脳梗塞に対する重要な治療手段として広く行われるようになってきた。医師になって以来、その発展とともに歩んできたのが石井暁医師だ。
 
石井暁医師が研修医だった頃は、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術のための機器が国内に導入されたばかりという、脳血管内治療の黎明期にあたる時期だった。当時既に、脳動脈瘤に対して開頭手術は確立されていたが、脳の奥深くに生じたものなど、非常に難易度が高い症例もあった。滝和郎医師や坂井信幸医師らが、新しいデバイスを用いて開頭せずに治療に成功した症例に接したことで、脳血管内治療に興味を抱いたのだという。「開頭クリッピング術では後遺症のリスクが高いと考えられるような脳底動脈の脳動脈瘤が、脳血管内治療では1時間半くらいで何事もなく終わったのです。圧倒的な低侵襲さに感銘を受けたのがきっかけでしたね」
 
本格的に脳血管内治療に注力する転機が、京都大学での研修後に在籍した倉敷中央病院での経験だ。そこで、心カテーテル治療の先駆者である光藤和明医師から直接カテーテル操作の基礎を学ぶ機会が得られたのだ。「当時駆け出しの脳神経外科医だった自分が循環器内科のエキスパート中のエキスパートの指導を直接受けられたのです。それが完全な後押しとなり、脳血管内治療の領域でやっていこうと考えたのです」。加えて、脳動脈瘤や、脳梗塞、頸動脈狭窄症と、さまざまな疾患の治療に携わる中、脳血管内治療に初めて触れた急性期脳梗塞の再開通治療を自身で手がけたことも大きかったという。当時部長だった山形専医師(現院長)らに背中を押されて術者として担当した治療の結果が良好で、患者も歩いて帰宅できた。技術を習得途中の身でも慎重にやれば優れた結果が出せると感じたことで、脳血管内治療が10年、20年後に普及すると確信したのだ。
 
 

手がけた治療を論理的に検証し次の症例に生かす

以来、脳血管内治療を軸に、開頭手術も含め、自身の技術を高めてきた石井医師。心がけているのが、成功した治療も含め、手がけた症例を論理的に検証することだ。「カテーテルの操作自体は回す、押す、引くといったように単純なものです。それだけに曲がりくねった血管の中でなかなかカテーテルが通らなくても、なんとなく回したり押し引きしたりしてうまくいくことがあるのです」。そこで満足してしまえば、次に同じ症例に接した時に治療が再現できない。そうならないよう、なぜうまくいったか考え、ノートに書き留めてきたのだ。それを通じて引き出しを増やすと共に、知識だけでは対応できない症例に、自身で考えて答えを出す。そのようにして難症例にも数多く取り組んできたという。
 
「医師になってからの20年間がちょうど脳血管内治療が普及し、現在の立場を確立していく時期でした。今から考えると、脳血管内治療を手がける医師としては一番いい時期だったのでしょうね」と振り返る石井医師。現在では、自らが新しい治療の開発や普及にも携わるようになった。最も力を入れているのが、大型動脈瘤を治療できるフローダイバーターステントの手技の確立と普及だ。「臨床試験で取り組んでいただけに思い入れの強い治療です。今までの脳血管内治療では困難な大型動脈瘤を治療でき、正しく行えば再発も起こらないという、大きなブレークスルーとなり得るのです」。今まで助けられなかった患者、さらにはより多くの患者を救うため、日本における脳血管内治療の発展に貢献し続ける。
 

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