認知症という病気

■疾患の概要
認知症とは、何らかの原因で脳細胞が死滅したり働きが悪くなったりして、記憶・判断力の障害などを生じ、社会生活や対人関係に支障を来たしている状態を指します。。
脳細胞の障害が直接引き起こす症状を中核症状と呼びます。よく見られる症状として、覚えたことさえ忘れてしまう「記憶障害」、年月・時刻・位置といった現在の状況を認識できなくなる「見当識障害」、考える速度が遅くなる「理解・判断力の低下」、計画的に物事を進められなくなる「実行機能の低下」などが挙げられます。そして、こうした中核症状と本来の性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合うことで、不安やうつ状態、妄想、興奮状態などの、周辺症状(BPSD)と総称される症状を生じることさえあります。実際に見られる例として、貴重品をしまった場所を忘れ、別の人が見つけた際に盗んだと考えてしまう「物盗られ妄想」や、今までできていたことが困難になることでうつ状態に陥ってしまうことなどが挙げられます。
■診断
認知症は複数のタイプに分かれています。代表的なのは、患者の半分以上を占めている「アルツハイマー型認知症」に、「レビー小体型認知症」「血管性認知症」「前頭側頭葉型認知症」を含めた4つで、全体の9割を占めています。慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症などによって認知症の症状が現れている場合、手術や薬物療法で回復の可能性があります。こうした疾患と正しく見分けるためにも、しっかり認知症について学んだ医師のもとで、問診による経過の確認や、認知機能の低下の確認、CTやMRIを用いた脳の萎縮の確認、血液検査などで正確に診断することが大切です。
認知症は長く診ていく疾患であるため、まずは今後のかかりつけ医になりうる近隣の内科系の医療機関を受診すると良いでしょう。認知症について研修を受けていることは自治体のウェブサイトなどで調べることができます。そこで最初の診断を受けた後、専門の医療機関で鑑別のための診断を受けることが望まれます。
■治療
認知症の治療では、一般的に食事療法や運動療法などの非薬物療法と、アルツハイマー型に使用可能な薬剤や、精神症状に合わせた薬剤を用いる薬物療法が行われています。もっとも薬物療法は、時には副作用の可能性があることも理解しておくことが重要です。副作用と認知症の進行と混同してしまうことさえあり得ます。副作用及びその対処方法を十分に説明してくれる医師による管理体制のもと、十分に準備した上で受けることが望ましいでしょう。
中核症状と周辺症状

中核症状と周辺症状


そもそも、認知症は現状では根本的な治療や予防は望めず、症状を遅らせることができるのが現状と言えます。目的となるのは、認知症によって困ることを最小化し、本人が安心して張りのある生活を送れるようにすることにあります。そのためにも認知機能がどのように障害されているかを知り、残っている機能を生かせるようにしていくことが求められるのです。時にはBPSDと思われる状態を起こしていても、生活における不便な点の改善や、別の全身疾患の治療薬による副作用への配慮などによって収まることもあり得ます。そうした点にも留意しつつ、環境を整えていくことが大切です。
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