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特集記事: 2009年7月 7日 [ 週刊朝日 2009年7月17日号 掲載 ]

進化する治療と予防を支える 乳腺専門医
園尾 博司

【特別寄稿】

日本乳癌学会 理事長

園尾 博司 (そのお ひろし)

***

乳がんへの理解と自らの命を守る姿勢を

乳がんは女性がんのなかでもっとも多く、年間約4万人の女性が乳がんにかかっています。また、他のがんより若い人がかかることが多く、35歳くらいから増加し、40~50歳代がもっとも多くなっています。このうちの約3割は再発によって命を落としており、とくに30歳代から50歳代の年齢ではすべてのがん死亡率の中で一番多くなっています。しかし、2cm以下の早期で見つければ9割以上が治癒するがんでもあります。(※1

治療は、今では6割の人が乳房の形を残す乳房温存手術を受けています。この手術の生存率は乳房切除術と同等で良好です。しかし、3cm以下の比較的早期の乳がんでなければ行えません。乳房温存ができない場合には、皮下乳腺全摘(あるいは乳房切除)・シリコンバッグ充填(じゅうてん)術(※2)によって乳房の形を取り戻すこともできます。

また、乳がんが最初に入る脇の下のリンパ節のみを取って、それに転移がなければそれ以上のリンパ節を取らない手術(センチネルリンパ節生検)も専門施設のほとんどで行われています。こうすることで一旦起こると治癒困難な術後の腕の腫れ(リンパ浮腫)を防止できるのです。

日本乳癌学会(会員数8700人)では、臨床実績・研究業績・試験などにより乳腺専門医(外科医が9割を占める)を認定し、ホームページ(http://www.jbcs.gr.jp) に掲載しています。現在、乳がん術後の再発予防あるいは再発治療のために行うホルモン療法や抗がん剤療法などの薬物療法は毎年大きな進歩を遂げ、生存率の改善がみられています。

しかし、その情報があまりに多く、進歩も著しいため乳腺専門医といえども常に努力しなければ適正な薬物療法を行うことは困難です。日本乳癌学会は、乳がんの手術療法、放射線療法、薬物療法、診断、疫学・予防の5つの診療ガイドラインを出版しています。また、新しい有効な薬剤や治療法が早く保険適用になるよう努力していきます。

乳がんは女性がもっとも多くかかるがんであるので、乳がんをひとごとと考えず、自分の乳房に異常が起こった場合にはどの病院にかかるべきか常日頃から考えておくことが大切です。毎月の自己検診の習慣をつけ、乳がん検診を受診し、自分の命は自分で守るという姿勢をもっていただきたいと念願しています。また、乳房に少しでも異常がある場合は直接、乳腺専門医を受診するか、かかりつけ医に相談し、乳腺専門医を紹介してもらうのがよいでしょう。

※1 出典:国立がんセンターがん対策情報センター
※2 シリコンバッグ充填術は健康保険適用外です。費用は約100万円程度です。

園尾 博司(そのお ひろし)

日本乳癌学会 理事長

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