多くの人を悩ませる椎間板ヘルニアの原因
平成19年度厚生労働省の国民生活基礎調査によると、病気やけが等で自覚症状のある有訴者を症状別にみると、「腰痛」は、男性では1位、女性では「肩こり」についで2位となっている。このように、多くの人を悩ませる腰痛の大きな原因の1つとなるのが、椎間板ヘルニアだ。
人間の体の中心を通っている背骨(脊椎)は、その部位によって頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨に分けられ、合計24の椎骨から成り立っている。椎骨と椎骨の間には椎間板と呼ばれる軟骨があり、背骨の動きを滑らかにし、衝撃を吸収する役割を果たしている。椎間板の中央にはゼラチン状の髄核があり、その周りを線維輪というコラーゲンを豊富に含んだ線維状の組織が取り囲んでいる。この線維輪の損傷により、髄核や線維輪の一部が突出し、神経を圧迫した状態となるのが椎間板ヘルニアだ。
椎間板ヘルニアは、そのほとんどが腰椎に起こる腰椎椎間板ヘルニアで、放置すると下肢に感覚障害や運動障害を起こす恐れがあるため、痛みを感じたら、早めの受診が必要だ。
レーザー照射による体にやさしい治療
治療は、まずは保存療法が選択され、鎮静剤の投与や神経ブロック注射、牽引療法などが行われる。その後、症状が改善しない場合には、根治的な切開手術である外科手術が考慮される。外科手術は全身麻酔下で行われ、長期の入院が必要となる。そのため最近では、保存療法と外科手術の中間に位置付けられるPLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)が、患者への負担が少ない治療法として普及している。
PLDDは、椎間板にブロック針を刺し、針の中にレーザーファイバーを差し込んでレーザーを照射する。レーザーの熱によって、髄核の中心が焼かれ、そこに空洞ができる。空洞ができることで、飛び出していたヘルニアが引っ込むという仕組みだ。局所麻酔による治療で、切開の必要がなく傷や痛み、出血がほとんどない。通常は1時間もかからずに治療は完了し、原則的に日帰り、あるいは1泊2日の短期入院で帰宅できる。多くの場合ですぐに効果が認められ、その他の患者でも時間とともに症状が軽くなっていくという。ただし、椎間板の状態によっては、PLDDが適用できない場合もあり、症状が改善しない場合や、一度軽快しても再発する可能性がある。
PLDDの適用とさまざまなメリット
しかし、一般に椎間板ヘルニアの完治は難しく、外科手術でも再発の可能性はなくはない。再発すると、その後治療の選択肢が少なくなってしまう外科手術と比較すると、PLDDは、治療後に手術など他の治療法を選択することが可能となっているため、治療へのためらいも少なくてすむ。また、外科手術を行う前にPLDDをしておくと、切開手術の時間が短縮できるともいわれている。このような、多くのメリットから、今後PLDDを治療の第一選択肢とする患者も多くなるだろう。
治療は、健康保険適用外の自由診療で、一般的に費用は1回約30~70万円程度となっている。医療機関によって異なるので、各医療機関に問い合わせてみるとよいだろう。
【文/菅谷 英理】







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