成人の約8割が罹患している歯周病は、進行すると歯の喪失にもつながるため、日頃からの予防や適切な治療が大切だ(※)。そうした歯周病治療のプロフェッショナルを認定する日本歯周病学会の伊藤公一理事長に特別寄稿をいただいた。
※ 厚生労働省「平成17年度歯科疾患実態調査」
日本歯周病学会の取り組み
わが国が歴史上、これまで経験したことのないような高齢社会を迎えた現在、自分の歯で物をかみ、多くの人と楽しく会話をすることの重要性が、歯科界はもちろん、一般社会においても強く認識されるようになりました。日本歯周病学会は、歯周病学に関する幅広い分野で、学術研究、教育普及活動、国際活動、医療活動および予防活動を行うとともに、不特定多数の市民・団体を対象に助言・支援・協力を行い、歯科医学の医療水準の高揚、次世代人材の育成・国際化の推進、日本における歯周病の研究、教育、医療および予防を発展させ、国民の保健ならびに公益の増進に寄与することを目的に1975年に設立された学術団体です。
2002年4月1日付の医療機関の広告規制の緩和に伴い、医師または歯科医師の専門性に関し、告示で定める基準を満たすものとして厚生労働大臣に届出がなされた団体の認定する資格名が広告できることとなり、07年4月1日から薬剤師、看護師その他の専門性についても、同様に資格名を広告できるようになりました(医師団体数52、資格名数50、歯科医師団体数4、資格名数4および看護師団体数1、資格名数26)。歯科医師の専門資格については、日本口腔外科学会認定口腔外科専門医、日本歯周病学会認定歯周病専門医、日本歯科麻酔学会認定歯科麻酔専門医および日本小児歯科学会認定小児歯科専門医です。
歯周病専門医資格取得の条件
当学会では、認定医、専門医、指導医等の資格を設けており、専門医は5年間あるいは認定医(08年4月31日施行、現在暫定期間中)取得後2年間研修施設で研修して、専門的な歯周治療の知識と技量をマスターした上で専門医試験に合格した歯周病学会員です(09年3月31日現在で会員総数7462名、歯周病専門医833名、指導医182名、指定研修施設数84)。
当学会では、次に該当する者であって、審議会の審査で合否を判定し、理事会の議を経て専門医として認定しています(日本歯周病学会専門医制度規則第3章第8条より抜粋)。
- 歯科医師の免許証を有する者。
- 本学会が認める認定医資格取得者。
- 学会の認めた研修施設で通算5年以上の歯周病学に関する研修と臨床経験を有する者およびこれと同等以上の経験を有すると認められた者。
- 専門医の申請時において、通算5年以上の学会会員である者。
- 専門医申請時に教育研修単位を50単位以上取得の学会会員である者。
- 専門医試験に合格した者。
- 原則として日本歯科医師会の会員である者(正会員、準会員)。
国民への良質な歯科医療の提供へ
わが国では、現在、医・歯・看護学会を中心に専門医制度が設けられています。この制度は医療の水準を高めること、患者や患者の家族からみて医療施設や医師・歯科医師・看護師個人の専門を承知し、診療を受けやすいようにすること、医療施設および医師・歯科医師等が相互にその専門をすぐ分かるようにすることなどに役立つことを目的としてきました。
しかし、各学会の専門医制度にも差があるため、最近、その整合の必要性が強調されています。同時に各医療施設や医師・歯科医師などの個人の詳しい専門を知って診療を受けたいという国民的関心が高まっています。成人の約8割が歯周病に罹患していることから歯周病専門医の数はどれくらい必要なのか、また、大都市に偏在することなく、全国津々浦々まで均等化しているか、などの諸問題が解決していないのが現状です。
このような現状を踏まえ、日本歯周病学会では歯科系学会相互間の協力と連携・交流を図り、社会に信頼される専門医制度の確立、専門医の育成、認定およびその生涯教育などを行い、歯科医療の質の向上を目指すことで歯科医療に対する国民の多様化したニーズに呼応した良質な歯科医療を提供できるよう努めております。
伊藤 公一(いとう こういち)
日本歯周病学会 理事長
1972年 日本大学歯学部卒業。
同大学大学院歯学研究科(歯科保存学専攻)修了。
歯学博士。
83年 米国インディアナ大学歯学部にてMaster of Science in Dentistry取得。
99年 4月から日本大学歯学部教授。







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