ニューヨーク大学は、1831年に設立された歴史と伝統を誇る大学の名門で、世界大学ランキングで50位以内にランク付けされている。同大学では、2004年から歯学部歯周病インプラント科での研修をスタートし(各期は5月から翌年2月まで)、世界各地から研修医たちが集まり先端治療の習得に励んでいる。そこで今回、ニューヨーク大学で研修した歯科医師の皆さんで座談会を開き、渋谷歯科タナカ渋谷インプラントセンターの田中健久院長の司会進行で「日本の先端歯科治療」について語ってもらった。
ニューヨーク大学で学んだものは?
田中健 最初に先生たちが、なぜニューヨーク大学へ研修に行き、何を学んできたかというお話から伺いたいと思います。
田中宏 ニューヨーク大学では、インプラントのみならず、矯正や補綴、咬合学などの一流のインストラクターがいて、世界中から歯科医師の先生たちが集まってくるので、さまざまな情報交換が可能です。それは授業だけでなく、休憩時間や学食、懇親会などでも同様で、歯科治療の不良例や難症例について意見交換ができます。身近な症例を話し合うことで実際の治療のヒントになるのです。
飯山 難症例を勉強すればするほど、難症例と感じなくなります。そのためにはどうしたらいいかと思ったとき、ニューヨーク大学に行くというのが一つの方法でした。治療ができないような難症例を、「むずかしくないよ」といえるかどうか、勉強した中で結果を出せるよう心がけました。
西川 失敗症例をみんなでけなし合えるのがいいですね。互いが壁を取り去ったという仲間意識があるから、けなし合えるのだと思います。
荒井 教えてくれる先生たちがアメリカ人ばかりでなく、ドイツ、南アフリカ、ブラジルなど多彩です。世界中の優秀な先生方がプレゼンテーションしてくれます。情報も世界中から入ってきます。
村木 本当に世界中からいろんな人が集まって来ていますよね。どれか一つの考えに固まってしまうのではなく、いろんな先生方と交流し、混ぜ合わせた情報の中で答えを得られるのがいいと思います。
金平 それから企業の影響がないのがいいですね。企業がバックアップして、その趣旨のもとに進める研修ではありません。テーマは公平なデータに基づいて行われます。
繊細ともいえる日本人の技術力
田中健 向こうの歯科治療は何が違うのでしょうか。
荒井 総論になりますが、材料(マテリアル)はすばらしいと思います。古い材料でなく、より新しい材料でできるのがアメリカの魅力です。ただ、オペは日本人のほうがうまいのではないでしょうか。世界を代表する材料と日本の技術力を融合できれば、トータルで一番強い分野を確立できると思ったので、ニューヨーク大学に学びに行っていたわけです。
村木 アメリカの症例を見ると、大胆さがあって勉強になることが多く、とてもすばらしいと思いますが、日本にも良いところがあります。ニューヨークで学んだことを生かし、良いところを日本向けにアレンジすれば、さらに良いものにできるのではないでしょうか。
西川 日本の場合は、歯科医療の条件が悪すぎます。悪いから、大胆にできない。悪条件の中で何とか成功させようと思えば、あの手この手で繊細にやらないといけないでしょう。
飯山 日本人はがんばっていますよね。日本の技術力はとても優れており、決して医療の後進国ではないです。
荒井 インプラント手術の場合、日本人の骨の状態を考えると、欧米人に比べて120%むずかしいといえるかもしれません。しかし、日本の歯科医師は150%気を使って慎重にやり、技術力でカバーしているから成功するのです。
金平 アメリカでのオペがうまくいったとしても、日本でもうまくいくかというと、必ずしもそうでないことが多いですね。そうした経験や知識をアレンジしながら、われわれのレベルを高めていくのが大事ではないでしょうか。
飯山 海外から移入したものを日本人好みにアレンジするというのは、やはり猿まねの域を脱することができないのではないでしょうか。現状では、アメリカの大学の研究結果を活用してエビデンス(その治療法が選択されることの科学的根拠)としているのですから。日本の大学の研究結果と比べると、アメリカのものは膨大な量があります。
本やまた聞きではなく直接聴くことが大事
西川 ニューヨーク大学では、日本に入ってきている技術的なエビデンスを、直接聴くというところに意義があります。私たちが日常使っているものの裏付けができるというのが大きいですね。
飯山 本を通してでも、研修を受けた先生の講演をまた聞きするのでもなく、自分で聴きたいからニューヨークに行きます。私たちは、それに人生をかけていますし、志を同じくする先生たちの意気に触れることもできますから。
清水 海外で、同じ志を持った先生と出会えるのが、とても刺激になっていいですね。
西川 人との出会いは大事です。ここにいるみんなは、ニューヨークで初対面で出会いました。向こうでは、月曜から金曜の9時から17時まで授業があって、プライベートの時間はほとんどないくらいでした。みんなと付き合おうとすると、寝る時間をさくしかありません。平均睡眠時間3時間で、授業も寝ないでがんばった仲間たちです。
田中宏 みんなで向こうの空気に触れられたというのも大きいですね。
飯山 山の写真を見ても、実際にその山に登らなければ空気のよさがわからないのと同じです。百聞は一見にしかずで、現地に行くことで「また勉強しよう」と思うし、それで患者さんが幸福になるということがわかっていますから。
金平 学習意欲は高まりますよね。今後も勉強し続けるぞとモチベーションが上がります。
新しい治療の是非を見極める目を持つ
田中健 ニューヨーク大学で先端の歯科治療を習得できるのも、大きな目的ではないですか。
荒井 ニューヨークで先端といっても、1年待てばその知識や技術の本が日本で出版されることがあります。
清水 1年後に日本では当たり前になっているかもしれませんが、私たちはその1年を惜しんでニューヨークに勉強に行き、先端治療をただちに持って帰って実践しています。それが患者さんの幸せに貢献できると思っているからです。
西川 ニューヨーク大学といっても、私たちも勉強していますから目新しいことは何もないですね。だから、研修の目的は、私たちがやっていることは正しいことだという確証を得ることが大きいと思います。
田中宏 先端治療といっても、次へと残らない治療が歯科ではたくさんあります。ニューヨーク大学は研究セクションが多いので、選択する幅が広がり、それによってより確実な治療を目指すことができます。ダメなデータをいち早くチェックすることで、新しい治療が是か非かを見極める目を持てるのも大きいですね。
金平 新しい治療で、こんなことをやっていたというリポートの中には、たまたま成功したというものが結構あります。そうではなくて、自分もうまくいったが、ほかの人も成功するというデータの裏付けを見極める必要があります。成功率とか信頼性の問題を向こうへ確認しに行っているのです。
信頼性の高い治療方法を吸収する
西川 ニューヨーク大学で感じたのは、信頼性の高さです。生体のどこに危険があるかを知り、事故を避けるために最大限の基礎力をつけるのです。基礎あってのアドバイスといえ、足元を固めるというのが大きいと思います。
村木 大学の情報量は膨大にあります。その中からより新しく信頼性の高い治療方法を吸収するのが大事ですよね。
飯山 信頼性を確保するために、日夜勉強しています。アメリカに行って研修してきたのも、その一環です。
西川 それからより快適な治療ということですね。今の歯科治療のデータは、ほとんどニューヨーク大学のターナー先生のデータといっていいでしょう。あのデータが世界のエビデンスになるためには、ものすごい情報収集がありました。ターナー先生がいるから、ニューヨーク大学に行っているともいえます。また、ターナー先生の前にはリンコー先生がいました。1980年代から、骨に金属を埋め込むということを研究してきた大学です。金属を埋め込むというのでは、歴史が違います。
インプラントの材料は5~10年遅れている
田中健 材料については、日本に入って来るのが遅いですね。
田中宏 日本に入ってくるインプラントの本体などは、5年遅れています。
金平 5年ではきかないものもあります。
飯山 材料の中には10年以上遅れているものもありますね。
金平 ただ、早ければいいかというと、それだけともいえません。使ってみると全然ダメという材料もあります。日本に遅れて入ってくるものは、信頼性があり、絞り込まれているのはいいと思います。
清水 アメリカで長く使っていて、これはいいという材料があるのに、認可の関係でなかなか日本に入ってこないですね。
井の中の蛙にならず一流の風を感じたい
田中宏 日本だけで治療をしていると、井の中の蛙になってしまいます。世界の歯科治療に触れると、自分がいる位置がわかるようになります。
西川 私たちも日本でいろんな情報をもらって勉強していますが、半面、自分が地球上でどのレベルにいるのかがわからなくなることがあります。ニューヨーク大学では、自分の位置が確認できます。そして、次のステップが何かとテーマが生まれるのが大きいです。
田中健 ニューヨーク大学って、マネージメントがすごくうまいですよね。日本人だけでなく、全世界に研修会の門戸を開いています。歯科の分野に限らず、マネージメント能力を見てもすばらしさを体験できます。
飯山 全世界のダンサーがニューヨークに行くのと同じではないでしょうか。本物の風を浴びたいから、そして実際に風に当たれる場所でもあるからニューヨークに行くのです。全世界からやってきた人たちが、切磋琢磨して、そこで評価を見いだしていきます。
清水 ウオール街をとってもそうですが、ニューヨークにはたくさんの一流があります。歯科だけではなく、一流の風を感じることができます。
田中宏 私のクリニックではニューヨーク大学のステッカーを張っているのですが、患者さんにもニューヨークの風を感じてもらえればいいですね(笑)。
西川 ここにいるみんなは30代前半もいれば、40代、50代、60代もいます。世代を超えて、ニューヨークという同じ土俵で一つになったのです。目指しているものが一緒というのが一つになれる理由で、これからも交流を続けていきたいと思います。
田中健 ニューヨーク大学で学んできたインプラント治療における新しい知識と技術を、これからも患者さんたちのために提供していきましょう。
【取材/秋山 晴康】

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ニューヨーク大学
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医療法人社団 宝樹会 佐藤弘樹 理事長 医療の先端にじかに触れ、一 流を肌で感じるという目的で 参加しています。世界各国か ら集まるインストラクターや 日本全国からの研修生との出 会いも財産になっています。 患者さまにどんどん還元してい ければと考えています。 |
ニューヨーク大学
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医療法人 ゆたか会 丹野 努 理事長・院長 ニューヨーク大学で研鑽する ことにより、世界レベルの知 識、技術を学べたことを喜ば しく思っています。日本の多 くの患者さんに世界標準のイ ンプラント治療を提供できる よう、これからも学んでいき たいです。 |
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いわき歯科医院 岩間 賢珠 副院長 ニューヨーク大学のコースに 参加し、全国の優秀な先生方 と机を同じくし、世界的権威 であるターナー先生をはじめ とする講師陣の講義を聴くこ とができました。現在の世界 の基準や先端を感じ、知る良 い機会が得られたと思います。 |
ニューヨーク大学
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えんどう歯科クリニック 遠藤為成 院長 世界のトップクラスの講師陣 からレクチャーを受けること ができ、疑問点を直接聞くこ とで学術、技術的な自信を持 てるようになりました。向上 心旺盛な先生たちと学ぶこと ができたことが、何ものにも 代えがたい経験となりました。 |
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ニューヨーク大学
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医療法人 緑和会 古市 嘉秀 理事長 ニューヨーク大学のコースの印 象は、バランスの良さです。さ まざまな分野の新しい情報、エ ビデンス、術式に加え、運営の マネジメントも高く、そこに集 う受講生の仲間同士の刺激と相 乗効果に満ちた、すばらしい学 びの場です。 |
ニューヨーク大学
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西大津歯科医院 森岡 千尋 院長 ニューヨークは、歯科に限らず "世界の先端"であり、"本物"が 集まる所だと思います。そこに 行けば、"世界の本物同士"の交 流が生まれます。お互いに刺激 を与え合うことは、よりすばら しい治療を生むと思い現地に出 向いています。 |
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ニューヨーク大学
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スマイルプラン 山本 恒一 院長 ニューヨーク大学には世界中 から優秀なドクターが集まっ てきており、アメリカや日本 のみならず世界各国の歯科医 療を体感することができまし た。世界水準の治療を患者様 にお届けするためにm日々頑 張っています。 |
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ホワイト歯科 中西 久人 理事長 インプラントの治療をより成 功率の高いものにしたくれ参 加しました。刺激になり、う れしかったのは、全国の志の 高い先生たちと情報交換し、 切磋琢磨できたことです。こ の良い出会いを今後も大事に していきたいと思います。 |







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