ファミリー歯科医療クリニック・はくじかい歯科医療クリニックでは、今年7月から「訪問歯科診療」を開始、在宅介護や看護を受けている人々への診療を提供する。自身も訪問介護員の資格を持つ藤田博之理事長は、真に患者のためになる医療を最優先に考え、歯科と一般医療が連携して行うトータルヘルスケアを目指している。
専門医の協力態勢を整え救急の診療にも対応
千葉県富里市にある「ファミリー歯科医療クリニック」、および成田市にある「はくじかい歯科医療クリニック」では、藤田博之理事長のもと、常勤歯科医師6人、大学病院の専門医ほか非常勤歯科医師7人を迎えて、各分野の専門医が協力しながら診療を行える態勢を導入している。診療台数は9台(ファミリー歯科)と8台(はくじかい歯科)を備え、両クリニックとも年末年始を除いて無休、夜9時まで診療を行い、119番からの紹介も多い。
両クリニックは一般歯科から小児、矯正、口腔外科、インプラント、審美的治療、歯周治療まで広範囲にわたり行っており、年間外来患者数は約3万人に及ぶ。そして、その内およそ3分の1は歯周病予防の処置を行う患者だという。
全身に影響する歯周病を訪問歯科診療でケアする
藤田理事長は日本歯科大学を卒業後、附属病院の歯周病学教室で研究に力を注ぎ、その後、勤務したクリニックでも多くの患者の歯周病予防処置や訪問診療を行ってきた。現在では、歯周病の予防・治療の重要性は、全身疾患との関連性からも再認識されているが、開院当初は軽視されがちな領域であるように感じていたと藤田理事長はいう。
「私自身、以前は新しい治療にばかり目が行きがちでした。しかし、高度医療だけでなく歯科医療の原点を見つめ直したとき、ぜひ実施したいと考えたのが、通院できない人のための『訪問歯科診療』だったのです」
訪問歯科診療では、歯科衛生士による口腔ケアはもちろん、往診用の機材により、クリニックでの診療とほぼ同じ内容の治療を行うことができる。また、他の全身疾患に留意し、必要に応じて総合病院と連携をとることも重要になる。
歯周病は近年、口腔内細菌起因による誤嚥性肺炎や糖尿病との相関的な要因、心内膜炎などほかにも多くの問題が指摘されている。予防のためにはプロによる定期的な口腔ケアが欠かせない。
患者をトータルに診て地域のニーズに応える
藤田理事長が訪問歯科診療の実施に踏み切った理由の一つに、通常の診療を行うなかで、居宅で全身疾患を抱えた人の存在を忘れがちなのではないかという懸念があった。というのも、総合病院に勤務していた時代には、医師が患部の治療にのみ目を向けがちで、口腔内の衛生管理にまでは注意が払われにくい状況も見てきたからだ。
「歯科とそのほかの診療科の医師との連携をもっと強め、患者様を全体的にとらえた、トータルヘルスケアが不可欠なのではないでしょうか」
そう語る藤田理事長は、訪問介護員2級とカイロプラクターの資格を取得している。
当初から歯周病予防システムの確立を目指していた同クリニックでは、意欲的なスタッフにも恵まれ、現在8人の歯科衛生士と9人の歯科助手がいる。
訪問診療というと費用が高くなると思われるかもしれないが、介護保険での治療が可能になる。 「正直なところ、運営・人材・コストとのバランスはかなりむずかしくなります。それでも可能な限り、地域のニーズに応えられるよう頑張っていきたいと思います」と藤田理事長。訪問歯科診療は開始したばかりだが、高齢化が進むなか、先進的な歯科医療のモデルとなるかもしれない。
【取材/川島 晶子】
藤田 博之(ふじた ひろゆき)
医療法人社団 博慈会 理事長
1996年、日本歯科大学歯学部卒業、
同大学病院歯周病学教室、日本医科大学千葉北総病院歯科、
亀田総合病院歯科センター等に勤務の後、
01年、ファミリー歯科医療クリニック開院、
04年、はくじかい歯科医療クリニック開院。
厚生労働省臨床研修医指導医、居宅訪問介護員2級







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