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特集記事: 2009年8月11日 [ 週刊朝日 2009年8月21日号 掲載 ]

体に優しい治療の普及で早期社会復帰も可能に 日帰りの鼠径ヘルニア手術
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中高年男性に多い鼠径(そけい)ヘルニア 根治には手術が必要

鼠径ヘルニアとは、鼠径部といわれる太ももの付け根から腹膜(腹の内部を包む膜)や小腸、大腸の一部が飛び出し、瘤として現れる病気で、脱腸とも呼ばれている。小児と成人それぞれに見られ、小児の場合は主に先天的なものだ。成人の場合は主に鼠径部の筋膜が加齢で弱くなって発症し、体の構造上男性に多い。

鼠径ヘルニアは自然に治ることは少ないため、手術で根治させる必要がある。従来は鼠径部を50~60mm切開して筋肉の裂け目を縫い合わせる手術が行われていたが、周囲の組織を引き寄せるために術後の痛みが強く、2~3日の安静と、1週間程度の入院が必要だった。現在では、腹腔鏡という内視鏡を使った手術で、切開部位を小さくして出血や痛みを抑えることができるため、1日の入院で済ませられるようになっている。

人工補強材を用いた日帰り鼠径ヘルニア手術

成人鼠径ヘルニアでは、手術糸などに使われるポリプロピレンをメッシュ状のシートにした人工補強材を用いた手術が多く行われるようになっている。筋肉を引き寄せずに補強材でふさぐことで手術が短時間で済み、痛みも少ない。そのために、体への負担が軽減され、症状によっては日帰りも可能になる。

この手術は複数の手法がある。「メッシュプラグ法」では、鼠径部を40mmほど切開し、傘状の栓にした補強材を入れて筋肉の穴をふさぎ、上から別のシートをかぶせて補強する。「クーゲル法」では、形状記憶の補強材を用いて内部から穴をふさぐ。腹膜を元の位置に戻した上で鼠径部を50mmほど切開し、補強材を楕円形にして筋膜の下に挿入すると、体内で広がって腹圧で固定されるという。ほかに、一体化した2枚の補強材で筋肉の穴を上下からふさぐ「プロリン・ヘルニア・システム(PHS)」という手法もある。

このように、鼠径ヘルニアの手術は患者に与える負担が大きく軽減されている。ただ、患者一人ひとりの状態に応じて処置も変わるため、医師としっかり治療について話し合うことが大切だ。

【文/鈴木 健太】

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