人体の自然治癒力を高める鍼灸治療
鍼灸(しんきゅう)は、体のさまざまなところにあるツボに鍼(はり)や灸(きゅう)で刺激を与えて、人間に備わっている自然治癒力を高める治療法だ。疾患の治療や体調の調整などに効果を発揮し、体への負担も少ない。数千年という長い伝統を持ちつつ、現在でも有効性が認められており、医師の同意書があれば、坐骨神経痛やリウマチ、腰痛などの一部の疾患を保険診療内で治療できる。鍼灸治療はさまざまな流儀があり、鍼灸師が個々の考えに基づいて研鑽を積んでいる。
鍼灸でも医師が行う治療と同様、施術の前には診断が行われる。鍼灸師は、症状や痛みの程度・部位・経過・原因などを独自の手法で確認しながら、一般の医療機関で行うような検査も用い、正確に患者の状態を把握して治療方針を決定する。そして、診断結果を基にして症状に対応したツボを決めた後、それを鍼の刺入や艾(もぐさ)の燃焼による熱で刺激していく。
鍼を用いる際は滅菌消毒された使い捨てのものを使用。鍼は非常に細く、筒を使って体へ刺す独自の方法も使うことで、ほとんど痛みを感じずに刺入できる。艾は乾燥させたヨモギから作られており、大きさは糸状や米粒大のものから小指大のものまである。ほとんどの人は着火してもかすかに痛みを感じる程度だ。艾での加熱は、治療によっては鍼灸師の指示のもと、自宅で行うこともできる。
確実な技術を持ち国に認められている鍼灸師
鍼灸治療を行うためには、鍼灸専門の教育機関を卒業してから、さらに国家試験に合格することで与えられる厚生労働大臣の免許が必要。さらに、免許を取得した後も、各種の学会や研究会に参加して研修を重ねることが求められる。こうしたことにより、すべての鍼灸師は知識、技術ともに一定の水準を保っているといえる。
現在では、世界中の大学病院などで鍼灸治療の研究が進み、世界保健機関(WHO)からも疾患に対する有効性が認められている。また、疾患の治療のほか、病気になる前の不調感など、一般的な医学では治療がむずかしい症状への治療効果も認められている。原因不明な体の不調などで悩みを抱えていたら、鍼灸師へ相談するのもよいだろう。
【文/鈴木 健太】







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