戸田病院は1957年の開院以来、時代に合わせた精神科医療に取り組んできた病院だ。現在、多くの人が悩んでいるうつ病に関しても、診断から社会復帰まで一貫した治療を提供する上、静養病棟と呼ばれる専門病棟も設けている。同院の井口喬院長と静養病棟主治医の太田晴久医師に話を聞いた。
年々患者が増加し 診断範囲も拡大するうつ病
うつ病の患者数は年々増加しており、社会的な問題にもなっている。かつては躁うつ病(気分障害)と統合失調症(精神分裂病)は二大精神病といわれていたが、現在では躁うつ病、中でもうつ病についてはその診断範囲の広がりとともに、一概に精神病の範囲には収まらなくなった。「うつ病の治療は、抗うつ薬を中心とする薬物療法だけでは不十分です。患者さんおよびその家族へのサポートや、問題の解決方法を習得させるプログラムなど、幅広い取り組みが求められます」と井口院長は語る。
診断から退院後まで一貫したうつ病治療
そのため、同院では診断、入院から退院後の通院まで、一貫した治療体制を設け、多彩な治療法を用意している。診断で本人の生活歴を細かく聞いて原因を探り、薬物療法のような治療から、問題解決へ向けた心のケアまで、医師や臨床心理士などのスタッフによるチーム医療で対処していく。
さらに、回復期に入った患者の治療を重視し、スムーズな社会復帰へ向けて手厚く支援している。「デイケアで復職プログラムや、スポーツや料理教室などの治療プログラムを用意することで、退院後も患者さんに合わせたフォローアップを行います」と、うつ病の治療に携わる太田医師は説明する。
ゆとりのある静養病棟で専門的にうつ病治療を
また、同院では専門的にうつ病治療を行う病棟として、静養病棟を設置している。こうした病棟は、他院でもストレスケア病棟という名で設置されているが、戸田病院では1985年と早期から導入し、うつ病の短期治療に効果を上げているという。
「うつ病治療は、患者さんの多様な気持ちに対応しなければなりません。極力リラックスしていただきながら、病気を重く捉えないよう配慮する必要があります」という太田医師を主治医とし、個室を中心とした静かな空間の中、病期に合わせたプログラムを用意する。
より時代に即した治療の提供を目指して
静養病棟は、2009年8月時点では20床だが、今後は、より療養環境に配慮した形に改装し、ベッド数を増やす予定だという。「以前に比べ、うつ病治療に要求されることが変化しています。それに応えるため、今までの実績も踏まえながら新しい考え方を取り入れたいと考えています」と井口院長は今後の方針について述べる。患者数の増加もあり、精神科医療は社会的に大きな役割を持ちつつある。戸田病院では現代の多様な需要に対応できるよう、質の高い医療の提供を心がけている。
【取材/鈴木 健太】
井口 喬(いぐち たかし)
医療法人高仁会 戸田病院 院長
1964年、大阪市立大学医学部卒業。
98~2006年、昭和大学附属烏山病院院長・精神神経科教授を経て、
06年より戸田病院院長
太田 晴久(おおた はるひさ)
医療法人高仁会 戸田病院 医師
2002年、昭和大学医学部卒業。
09年4月より戸田病院勤務。
精神保健指定医







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