発症者が増加するメラノーマ
治療の原則は早期発見と適切な手術
皮膚はさまざまな組織で構成されており、どこかの細胞が悪性化したものを皮膚がんと総称します。中でも、メラノーマ(悪性黒色腫)は代表的なもので、悪性度の高い腫瘍として恐れられています。メラノーマは、色素を産生する色素細胞に似たがん細胞からできるもので、初期の様子がほくろに似ることから「ほくろのがん」といわれることもあります。人種で発症頻度や部位が異なり、日本人の発症頻度は人口10万人あたり1.5~2人程度ですが、白人の発症頻度はこの40~50倍といわれます。日本ではまだなじみの浅いがんといえますが、発症数は増加傾向にあり、2000年以降は年間死亡者数が500人を超えるようになりました。
近年、がんに対する薬物療法の進歩は目覚ましいものがありますが、メラノーマは抗がん剤が効きにくく、ここ40年間大きな進歩がありませんでした。従って、現在も治療法の中心は早期に発見して適切な手術で取り除くことです。一方、診断には大きな進歩がありました。ダーモスコピーによる診断精度の向上と、センチネルリンパ節生検というリンパ節転移の早期検出法です。ダーモスコピーは、ゼリーや特殊な光源で光の乱反射を防ぎ、皮膚表面を特殊な拡大鏡で観察する検査方法で、肉眼よりも詳細な情報が得られます。習熟した医師が検査を行うことで、特に手のひらや足の裏に生じたメラノーマの診断精度が飛躍的に向上します。
また、皮膚に生じたがんは自分で簡単に観察できるのが強みといえます。メラノーマを疑うポイントは、(1)形が左右非対称でいびつである、(2)輪郭がぎざぎざしたりぼやけたりしている、(3)黒や茶色のまだらな色合いで、むらがある、(4)大きさが7mmを超える、(5)形、色、大きさに変化があり、時に出血や痂皮(かさぶた)を伴う、です。ただ、正常のほくろもいびつな形をしていることが多く、すべてを正しく評価するのはむずかしいのですが、(4)と(5)は比較的正しい判断ができる重要なポイントです。メラノーマは進行するとよい治療法がありません。早期に発見できるよう、時には皮膚をチェックし、気になるものがあれば皮膚科を受診してください。
並川 健二郎(なみかわ けんじろう)
国立がんセンター 中央病院
皮膚グループ







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