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特集記事: 2009年9月30日 [ 「がんで困ったときに開く本」 2009年9月30日 掲載 ]

大腸がんの早期発見だけでなく治療にも 大腸内視鏡検査
光島 徹

【特別寄稿】

医療法人鉄蕉会
亀田MTGクリニック 院長

光島 徹 (みつしま とおる)

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なぜ今、大腸内視鏡検診か その背景

わが国では衛生環境の改善と食生活の欧米化のためか、男女とも胃がんは減少しているのに大腸(結腸および直腸)がんの増加が著しく、厚生労働省「人口動態統計」によると、1980年には人口10万対死亡率が男性13.5(胃がん53.9)、女性11.9(同33.2)であったのに対し、2007年には男性37.2(同53.9)、女性29.5(同27.0)となっており、特に女性ではすべての「がん死」のトップに躍り出ている。

便潜血テスト偽陰性大腸がん

世界的に広く行われている大腸がん検診の診断法は便潜血テストである。わが国では便潜血テストの中でもっとも診断性能が高いとされる、ヒトの血だけに特異的に反応する免疫学的方法が使用されている。開発された当初は理想の大腸がん検診法と喧伝された免疫学的便潜血テストだが、経験を重ねるうちに免疫学的方法でも陽性にならない、言葉を代えれば「出血していない大腸がん」の存在が明らかになってきた。

大腸がん早期発見に 大腸内視鏡検査

我々は免疫学的便潜血テストの限界を明らかにするため、後で詳しく述べる内視鏡検診で発見された大腸がんのうち、内視鏡と便潜血テストが同じ日に実施された247例を対象に、免疫学的方法の1つであるRPHA(逆受身赤血球凝集)法の診断性能を検討した。結果は、進行がんの可能性が高い、病巣の最大径が2cm以上の症例でも、RPHA陽性率は67%(68/102)、1cmから2cmでは26%(28/109)、内視鏡的治療の対象となる1cm未満の大腸がんではわずか3%(1/36)に過ぎなかった。

我々の行っている大腸内視鏡検診

大腸がんによる死亡率の減少効果が確かめられている便潜血テストだが、内視鏡的治療の対象となるような小さな大腸がんを発見するためには、力不足といわざるを得ない。小さな大腸がんを発見するためにもっとも有力な検査法は内視鏡である。以前は受診者の苦痛が大きく、検診に使うなど考えられなかった大腸内視鏡だが、検査技術の改良および細径スコープの普及、硬度可変スコープの出現など機器の進歩により、熟練した医師が実施すれば、一般健常人対象の検診に使っても支障のないほど苦痛の小さい検査法となった。

我々の施設では1983年4月から理想の大腸がん検診を目指して、人間ドック受診者を対象に直腸から盲腸まで内視鏡で観察する大腸内視鏡検診を開始した。当初は、余りにも非常識と各方面から危惧された我々の大腸内視鏡検診であったが、大腸がんの増加と歩調を合わせるように年々受診者が増加して、2007年4月をもってついに25年目に突入、2007年3月までの述べ受診者数は11万8453人に達した。

検診によって発見された大腸腫瘍は、2003年3月までの20年間の集計ではポリープ(腺腫)1万3883例(発見率14.85%)、早期がん219例(0.23%、平均年齢55.8歳、36~78歳)、進行がん59例(0.06%、平均年齢59.5歳、38~88歳)であった。大腸がん検診の先進国である欧米、例えば英国やドイツでは5年に一度、米国では少なくとも一生に一度、無症状者の大腸内視鏡受診を推奨していると聞いている。

以上の理由により、大腸がんの好発年齢といえる60歳前後の方は、たとえ症状がなくてもぜひ一度、大腸内視鏡検診を受診していただきたい。

光島 徹(みつしま とおる)

医療法人鉄蕉会
亀田MTGクリニック 院長

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