社会医療法人杏嶺会 一宮西病院では、2009年1月から経鼻内視鏡を導入し、体への負担が少なく、苦痛の少ない検査を実施している。症例数は約700例で、上部消化管のスクリーニング検査を中心に、大腸や胆嚢、胆管などの検査にもアプローチする。腸閉塞の治療や胃ろうの造設など、経鼻内視鏡の活用範囲は広がっている。
上部消化管のスクリーニング検査
一宮西病院では、レントゲンやバリウム検診などで再検査となった場合の、食道や胃、十二指腸などの上部消化管のスクリーニング検査を中心に経鼻内視鏡を活用している。「経鼻内視鏡の大きな利点は、患者さんの体への負担が少なく、楽に検査できることです。経口に比べて経鼻であれば、ストレスも少なく、血圧が上がったり、脈拍が多くなったりするのを抑えることが可能です。また、心臓自律神経に与える影響も少なく、信頼性の高い検査であることが証明されております」と内科・消化器内科部長の森昭裕医師は話す。
検査の苦痛が少なく麻酔の負担も軽減
経口に比べて経鼻の場合は、嘔吐反射を起こすことが少ない。また、経鼻内視鏡は挿入管の直径が5.9mmと細く、材質が軟らかいいため、挿入時の苦痛も抑えることが可能だ。
通常の胃カメラは、静脈麻酔をして実施することが多い。この場合、麻酔がさめて元に戻るまで時間がかかるため、検査後に車の運転をしたり、集中力を要する仕事は制限され、回復するまでに丸1日を要することもある。経鼻内視鏡は局所麻酔で済むため、体への負担だけでなく、経済的な負担も軽減できる。「検査は5~10分くらいで終わります。午前中、車で来院し、検査を終えたらそのまま車に乗って仕事に戻ることもできるのです」と森医師。
約3000症例を実施し 大腸や胆嚢、胆管の診断も
一宮西病院が経鼻内視鏡を導入したのは2009年1月。現在、月に200例ほど手がけ、1~7月で約700の症例を扱っている。森医師は、2004年4月から経鼻内視鏡を使い始め、今年7月までの延べでは約3000症例を手がけているという。
経鼻内視鏡は、上部消化管のスクリーニング検査が約9割を占めるが、他の検査・治療にも活用している。「まだ研究段階ですが大腸や胆嚢、胆管へのアプローチも行っています。胆嚢、胆管の病気を診断するためにERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という検査がありますが、太い内視鏡だとストレスがかかるため、苦痛の少ない細い経鼻内視鏡で行っていこうというものです」と森医師はいう。
胃ろうの造設にも活用 検査や治療範囲も広がる
経鼻内視鏡は、胃ろうの造設にも力を発揮する。口から栄養摂取が困難な場合、腹部に穴を開けて胃に直接栄養を送り込む胃ろうを造設する。手術では、経口内視鏡の挿入が困難だったりすることがあり、そうした場合に経鼻内視鏡が役に立っている。森医師は経鼻内視鏡による胃ろうの造設を05年から手がける、先駆者の一人でもある。
また、腸閉塞の治療や食道動脈瘤への薬剤注射などにも活用されている。「経鼻内視鏡の鉗子口は2mmと狭く、処置具などの挿入が限られていますが、これが解消されていけば検査や治療の範囲も広がっていくと思います。経鼻内視鏡は、細い管しか入らないような臓器への応用が利きますから」と森医師は強調する。
【取材/秋山 晴康】
森 昭裕(もり あきひろ)
社会医療法人杏嶺会 一宮西病院
内科・消化器内科部長
86年、岐阜大学医学部卒業。
犬山中央病院消化器センター長・内科部長を経て、
2009年1月、一宮西病院消化器内科部長。
同年4月、内科部長を兼務。
07年、日本消化器内視鏡学会学会賞受賞。
日本内科学会認定内科専門医・指導医、
日本糖尿病学会認定糖尿病専門医・指導医、
日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医・指導医、
日本消化器病学会認定消化器病専門医、
日本感染症学会認定感染症専門医







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