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特集記事: 2009年9月30日 [ 「がんで困ったときに開く本」 2009年9月30日 掲載 ]

地域と目線を合わせた医療サービスを提供し がんの早期発見から治療までの先端医療を実践
上林 弘和

【取材協力】

社会医療法人 杏嶺会
一宮西病院 理事長・院長

上林 弘和 (かみばやし ひろかず)

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社会医療法人杏嶺会 一宮西病院の理念は、「街と人が明るく健康でいられますように」で、地域と目線を合わせることを優先した医療サービスを展開している。11月には多様化するニーズに応えるため、規模を拡大した新病院がオープンする。320列CTをはじめとする最新の医療機器を導入し、がんの早期発見・早期治療の先端医療の実践を目指している。

2009年11月下旬、愛知県一宮市開明字平1番地にオープンする新しい一宮西病院

医療スタッフを充実させ地域医療の提供を目指す

一宮西病院は2001年の開設以来、愛知県西部を中心とした地域医療の担い手として、一貫して地域と目線を合わせた医療サービスを提供してきた。多様化・高度化するニーズに応えるため、全国より医師を集めるなど、医療スタッフの充実に努め、救急・急性期医療への対応を進めている。

「開設当初は常勤の医師は6人でしたが、今では45人の医師がおり、今後さらに増加します。『地域ならではのきめ細かな医療』『皆さまに愛され信頼される医療』の提供を目指したいと考えています」と上林弘和理事長はいう。

同院の理念は、「街と人が明るく健康でいられますように」である。この理念を徹底するため、患者には「思いやりの心」で接し、職員同士は「助け合いの心」で対応することを基本姿勢としている。

経鼻内視鏡検査・治療や脳腫瘍手術の拠点病院

一宮西病院では、09年1月に経鼻内視鏡を導入したが、それを取り扱う内科・消化器内科部長の森昭裕医師は、04年4月から経鼻内視鏡を使い始め、09年7月までで約3000症例を手がけている。

体への負担が少ない経鼻内視鏡を09年1月に導入し、森昭裕医師らが検査・治療を行う

経鼻内視鏡は、鼻から入れて食道や胃、十二指腸などの上部消化管の検査を行う。口から入れる経口内視鏡に比べて、「おえっ」という吐き気をもよおすことが少なく、患者の体への負担と苦痛が少ない検査法である。森医師は、05年から胃ろうの手術に活用するとともに、腸閉塞の治療も行うなど、経鼻内視鏡による検査と治療の先駆者の一人である。

同院は、日本を代表する脳神経外科医である福島孝徳医師の、東海圏では初めての拠点病院でもある。

神経外科医として著名な福島孝徳医師の東海圏の拠点病院でもある

新病院のオープンで救急・急性期医療が充実

一宮西病院では、開業8年で患者受け入れ能力をオーバーしており、病床稼働率も100%に近い。現状のままでは、新規患者の受け入れ、救急医療の継続ができないと判断し、現病院の2倍以上の受け入れ能力のある新病院を開設する。今年9月完成、11月下旬オープンの予定だ。

「新病院では、まず従来以上に救急医療体制を充実させ、愛知県西部、一宮・尾張西部地区の救急医療の拠点としての役割を果たします。24時間365日、いつでもどんなけがや病気の患者さまも受け入れ、決して断らない、一宮西病院へ行けばなんとかなる、と地域の皆さまに信頼していただける病院を目指します」と上林理事長は決意を語る。

320列CTなどの新しい医療機器を導入

先端医療を提供するため、新しい機器の導入にも余念がない。CT(コンピューター断層撮影)では、320列と他2機を導入する。これにより、がんだけでなく、心臓や脳血管疾患などの早期発見、早期治療に役立てていく考えだ。

320列CTは、心臓や脳などが最短1回転0.35秒でフルスキャンできるため、一瞬で臓器の状態を把握し、治療を開始できる。また、心臓のような動く臓器の場合でも、スライス(断層)間のズレが生じる可能性がなく、子どもやお年寄りなど、よく動いたり震えたりする患者への柔軟な対応が可能だ。心臓カテーテルに比べて低侵襲で、より精度の高い画像を得ることができるため、心臓カテーテル検査の必要もなくなっていくと期待している。同院では、CTのほか、MRI(3.0テスラ)や心臓カテーテル、RI(シンチ)、透視などに新装置をそろえていく。

320列CTは被曝量が少なく、撮影時間が短縮できるため造影剤も低減できる

杏嶺会が今年4月 社会医療法人に

「戦後間もない1948年に先代上林弘之が一宮市奥町に上林医院を開院して以来、60年余の長きにわたって地域の皆さまにより良い医療を提供することを目指し、地域の皆さまに育てていただきながら成長をしてきました。65年には奥町病院に改名し、精神科医療への取り組みを始めるとともに、一般医療にも継続して取り組んできました。そして88年に医療法人杏嶺会として法人化しました」と上林理事長。

奥町病院は91年、上林記念病院へ名称変更し、現在、精神科治療病院として、外来新患数は愛知県ではトップの実績がある。

杏嶺会は08年7月、一宮市民病院今伊勢分院の移譲を受け、「いまいせ心療センター」が発足したのに続き、09年4月には一宮市立尾西市民病院の移譲を受け、「尾西記念病院」が発足。グループ医療機関との連携により、急性期から慢性期、回復期、在宅、訪問看護までの医療サービスと、それに関連する福祉サービスを提供している。

グラフ

また、09年4月には「特定医療法人」から「社会医療法人」となっている。「社会医療法人の資格を得るためには数々の高いハードルがありましたが、当法人はそれを克服し、"愛知県初の社会医療法人"として、認可を受けることになりました。今後も当法人の理念であります『街と人が明るく健康でいられますように』に基づき、街づくりを目指したより質の高い医療を提供してお役に立ちたいと考えております」と上林理事長はいう。

【取材/秋山 晴康】

上林 弘和(かみばやし ひろかず)

社会医療法人 杏嶺会
一宮西病院 理事長・院長

81年、愛知医科大学卒業
87年、精神保健指定医。
88年、医療法人杏嶺会理事長、奥町病院病院長。
91年、上林記念病院院長。
2009年、一宮西病院院長に就任

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