AIを活用した大腸内視鏡検査が登場
熟練した医師と同等の検査精度を実現

部位別に見たがんのうち、日本人の死因として特に多いのが大腸がんだ。このがんは早期に発見できれば高い確率で根治が目指せる病気でもある。そのための検査として有用なのが大腸内視鏡検査だ。

EndoBRAINが搭載された内視鏡検査機器


 
大腸内視鏡検査では、病変を直接観察して診断するため、医師の経験も重要になる。
その精度を高めるため、近年急速に進歩しているAI(人工知能)を組み合わせようという取り組みが進められてきた。
それが、オリンパス株式会社、昭和大学横浜市北部病院、名古屋大学大学院、サイバネットシステム株式会社により開発された内視鏡画像支援診断ソフトウェア「EndoBRAIN」だ。
AI技術を導入した内視鏡機器として国内で初めて薬事承認を受け、2019年3月8日に発売される。
 
同ソフトでは、最大520倍の超拡大内視鏡で撮影されたポリープの画像をAI(人工知能)が解析し、リアルタイムで腫瘍の可能性を導き出せる。受診者が得られるメリットとしては検査時間の短縮が挙げられる。内視鏡を合わせると数秒で結果が出て、すぐに治療の要否を判断できるという。
 
AIは約6万枚の内視鏡画像を学習しており、病気のある場合は96.9%の確率で疾患を見つけ出し、病気の有無を正しく診断する正診率も98%と極めて高い。これは、経験を重ねた専門医の診断にも匹敵する精度だ。読み込ませる画像を増やすことで、さらなる精度の向上が可能であり、既に学習枚数を9万枚に増やしたアップデートを行う予定だという。
 
ソフトの大きな目的として、非熟練医のサポートが挙げられる。現状、国内の内視鏡検査について、「検査を手がける医師は、初心者が半分、専門医が半分を占め、年々初心者が増えている」と指摘するのは、開発者の1人である、昭和大学横浜市北部病院消化器センター教授、工藤進英医師。「非専門医なくしては内視鏡検査はできない状況」(同大学消化器センター講師 森悠一医師)にあるのもまた事実であり、そのサポートを目指していくという。
そしてそれが、組織を診断する役目を担う病理医の負担を減らすことにもつながる。「検査医が診断の知識を持っていなければ何でも切除してしまいます。切除した病変はすべて病理医が診る必要があるため、病理診断の大多数がポリープに費やされてしまいかねません」と工藤医師。そうした病理医の負担増及び、医療費の増加の解消も期待できる機器といえる。
 
現状、大腸にできるポリープの診断だけが対象だが、いずれは陥凹した状態で生じる大腸がんなど、他の病変の診断もできるようにすることも目指していく。あわせて目指すのは、AIを活用した検査の保険適用だ。それが実現できれば、日本で行われる数多くの大腸内視鏡診断へ速やかに導入されるようになるだろう。