- 神奈川県
社会福祉法人聖隷福祉事業団
聖隷横浜病院

救急搬送受け入れ態勢充実
血流再開に向け迅速な治療
増える高齢者の搬送に医療態勢整え対応
脳梗塞などの脳卒中患者は発症後、いち早く医療機関に搬送されて治療を受けることが最重要だ。わずかな時間の差が患者の命を救い、予後の向上につながる。
長年にわたり横浜市保土ケ谷区やその周辺の救急搬送先となってきた聖隷横浜病院は2019年9月、日本脳卒中学会から一次脳卒中センター(PSC)としての認定を受けた。
「今まで救急搬送されてきた患者さんの受け入れに力を尽くしてきたことが認められたと考えています、このたびのPSC認定を機会に、スタッフ一同、気を引き締めて患者さんに向き合っていこうという思いです」と話すのは同病院脳神経血管・高次脳機能センター長の鈴木祥生医師。
横浜市のまとめによると19年の同市内の救急搬送人員は18万2646人を数えて過去最多、うち65歳以上の高齢者が56・2%を占めた。同院の周辺も住宅地が多く、高齢化が進んでおり、同院に運ばれる救急患者も増えていると鈴木医師は話す。
日本脳卒中学会によるPSCの認定要件は、24時間365日の受け入れ可能で、血栓を溶かすt-PA静注療法ができ、脳卒中患者治療に特化した病床(SU)を有している―など。同院では、以前からすべての基準を満たした上で、脳血管のスペシャリストである日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医らが治療にあたってきた。
院内の動線を見直し治療まで最短20分に
脳梗塞患者は発症直後の急性期が治療の成否の分かれ目。t-PAは発症から4時間半以内の使用が推奨されているためだ。これに同院では、19年7月にオープンした新病棟が貢献した。
「患者さんが到着から治療を開始するまでのプロセスを全て見直しました。さまざまな動線やスタッフの動きについて改善を重ねて、目標としていた最短20分とすることに成功しました」
さらに同院では、これまで鈴木医師を中心に注力してきた脳血管内治療も大きな武器となっている。t-PAが使えない場合でも、足の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を入れて、血管を詰まらせている血栓を回収する方法などをとって血流を再開させる。
鈴木医師は「回復期リハビリテーション病棟が7月に開設され、急性期から一貫して患者さんを診ることができるようになりました。今後も皆さんのお役に立てるよう努めていきたいと考えています」と話している。
院長補佐
脳神経血管・高次脳機能センター長
鈴木 祥生

医療新聞社
編集部記者の目
救急搬送された脳卒中患者は治療までの1分1秒が命を左右する。聖隷横浜病院は、この数年院内の改革を進め、新外来棟や回復期リハビリテーション病棟の建設に加え、一次脳卒中センターとしての認定を受け、患者の受け入れ態勢を最大限に強化した。近隣ばかりか横浜市内の人々にとってこのうえなく心強いことだろう。さらに同院は鈴木祥生院長補佐を始めとした脳血管内治療のスペシャリスト揃いである。この二重三重の医療態勢の充実ぶりで、これからも聖隷横浜病院は、脳卒中治療の拠点として、存在感を発揮するだろう。
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