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社会医療法人石川記念会

HITO病院

HITO病院の脳血管障害に対する専門治療

【寝たきりを防ぐ】

 近年、寝たきりの患者さんが増えてきています。寝たきりの原因として、最も多いのが脳卒中による後遺症です。脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血を含みます。いずれも発症すると程度は様々ですが、四肢の麻痺(手や足が動かなくなる)や感覚障害(手足のしびれや感覚がなくなる)、ろれつ障害、嚥下障害(ご飯が食べにくくなる)、失語症(言葉が理解できなくなる)などの後遺症が残る可能性が高くなります。

① くも膜下出血と脳動脈瘤

 脳卒中の中でも死亡率が高く後遺症を残す可能性の高い、くも膜下出血について紹介します。くも膜下出血の原因は、ほとんどが脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)が破れる事によるものです。

脳動脈瘤とは、脳の血管が風船のように膨らみ「こぶ(瘤)」ができてしまう病気です。正常の血管構造と異なるため、血管の壁が薄くなり破裂してしまうのです。破裂する確率は、年間約1%といわれています。しかし、脳動脈瘤の大きさ・形・場所により破裂する危険性は異なることがわかっています。

脳梗塞や脳出血は発症する前に予防することは難しいのですが、くも膜下出血は脳動脈瘤を治療することで予防することができます。脳動脈瘤の治療には、開頭クリッピング術とカテーテル治療の2通りあります。近年、低侵襲(体への負担が少ない)治療が好まれ、カテーテル治療の治療件数は全国的に増えてきています。

カテーテル治療は足の付根から大動脈にカテーテルを挿入し、脳動脈瘤まで誘導。カテーテルを通してコイルを脳動脈瘤の中に詰めます。こうして、脳動脈瘤内に血液が流れるのを遮断し、破裂を予防します。

 しかしながら、従来の開頭手術を行う術者(手術を行う人)に比べ、カテーテル治療ができる術者は少ないのが現状です。愛媛県内に限らず四国全体でみても、患者さんの治療や若手の指導ができる術者(指導医)が在籍する病院は数施設しかありません。

開頭クリッピング術、カテーテル治療、いずれの治療法を選択しても脳梗塞や脳出血などの重篤な合併症もあるため、治療法や危険性について十分ご理解いただくことが必要です。

脳動脈瘤は頭部MRI検査を行うことで発見することができます。一般的に脳動脈瘤は20人に1人発見されると報告されています。脳動脈瘤を早期発見・早期治療することで、寝たきりを防ぐことができます。寝たきりにならず、健康寿命を延ばしましょう。

血管内治療のメリット


• 開頭しなくても治療ができ、入院期間が短かく身体への影響が少ないことがあげられます。


次のような症状でお困りの方はぜひご相談ください


• 脳ドックなどで未破裂脳動脈瘤頸動脈狭窄を指摘された方
耳鳴り頭痛、目の充血、眼球突出などの症状があり、耳鼻科や眼科で硬膜動静脈瘻が疑われた方

② 脳梗塞治療

 寝たきり原因1位の脳卒中の中でも、脳梗塞が最も多い原因となっています。脳梗塞とは、脳に栄養を送っている血管が塞がることで、脳の細胞が死んでしまう病気です。血管が塞がる原因は様々ありますが、特に血栓(血の塊)が原因となることが多く、脳の太い血管が血栓で詰まると重篤な症状を引き起こします。

脳梗塞は発症すると時間の経過とともに脳細胞が壊死していきます。そのため、可能な限り早く詰まった血管の血流を再開させることで、脳梗塞の進行を抑えることができます。また、治療までの時間が短いほど患者さんの機能改善がよく、後遺症も少なくて済むと報告されています。脳梗塞の治療は時間との戦いです。

脳梗塞の治療のひとつに、血栓を薬剤で溶かし、血流を再開させるという血栓溶解療法(t-PA治療)や、カテーテルを使用して詰まった血栓を回収する血栓回収療法があります。治療の適応はいずれも発症から数時間以内と限られていまする上に、大きな血栓は溶かしきれない場合があることなどから、近年注目されているのは脳のカテーテル治療による血栓除去です。治療には図のような血栓を絡め取るステント型のカテーテルや、血栓を吸引除去するカテーテルを用います。


カテーテルでは頭を開くこと無く、脳血管に詰まった血栓を取り除くことが出来るため、体への負担が少なく、また血栓を溶かす治療よりも術後の経過が良くなります。しかしカテーテル治療も発症から8時間以上経過してしまった場合には適応外となってしまいます。

③ 当院の脳血管治療体制

この様に、発症前の予防や発症後の迅速な対応が重要な脳卒中に対し、当院では7年前より「脳卒中センター」を開設し、チーム医療体制で対応しております。いつでも脳卒中患者さんを受け入れ迅速に治療が行えるよう、24時間365日の救急医療体制を整えております。

また、術後の患者さんには急性期からのリハビリテーションも行っており、早期の離床を目指して各職種が連携しています。

四国全体で見ても、脳のカテーテル治療を専門に行う医師は少ないのが現状です。脳卒中患者さんを一人でも多く迅速に受け入れられるよう、対応しております。

脳神経外科部長
統合型歩行機能回復センター長

篠原 直樹

日本脳神経外科学会認定
脳神経外科専門医

脳血管内治療科部長

岡本 薫学

日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
日本脳神経外科学会認定
脳神経外科専門医

Information

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ホームページ

【病床数】257床
(うち回復期リハビリテーション病棟50床)
【診療科目】内科、脳神経内科、外科、
脳神経外科、リハビリテーション科など
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