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社会医療法人 加納岩

山梨リハビリテーション病院

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患者に寄り添い、諦めないリハビリを実践

質の高いリハビリに他県からの患者も

 山梨県笛吹市の石和温泉にある山梨リハビリテーション病院。開院から52年、地域を支えてきた同院は2000年の建て替えを機に全3病棟135床を回復期リハビリテーション病棟とした。同院は厚生労働省が定める施設基準(「回復期リハビリテーション病棟入院料」)のうち最も高い「1」の基準を取得しており、質の高いリハビリの提供に注力している。

 病棟は「明るい」「風通しが良い」「においがしない」という点を特に配慮して造られている。病室は患者一人につき8平方㍍、廊下も3台の車椅子がすれ違うことができる広さだ。患者が入院生活を通じ、集中的にリハビリに励むことができるよう配慮されている。

特に脳卒中リハビリテーションに定評がある同院には、地域だけでなく他県や都心からも患者が来院している。

 「脳卒中患者さんの症状は一人ひとり違います。したがって当院では患者さんに合わせたオーダーメイドのリハビリを提供したいと考えています」と話すのは、リハビリテーション部副部長で理学療法士の伊藤克浩氏だ。同副部長で作業療法士の山本伸一氏も「麻痺で動かない手足を『何とかしてほしい』という患者さんの訴えに向き合い、重症度に関わらず、バランスよく身体全体の機能回復を目指します」と話す。長年にわたり同院で患者に寄り添うリハビリを実践し、体制を築き上げてきたのがこの両氏だ。

麻痺を諦めずに機能改善を目指す

 そんな伊藤氏、山本氏は共に脳卒中による中枢神経系の損傷に対する機能障害リハビリテーションのスペシャリストだ。その実施だけでなく、職員のみならず全国で指導する立場にもある。

 「脳卒中患者さんには、麻痺のない側の手足を強化して日常生活をカバーできるようなリハビリが行われてきました。しかし私たちは麻痺側こそ機能を改善すべきという考えに基づき、麻痺側にもアプローチして脳機能の回復を目指すリハビリを提供し続けてきました」と山本氏は話す。

 単にADL(日常生活動作)の向上だけでなく、麻痺側を含めて機能を改善する。「それが当院の目指すところです」と伊藤氏も力を込める。

チームが一丸となり患者に心を通わせる

 こうした諦めないリハビリの提供に欠かせないのがチーム医療だ。同院では、伊藤・山本両氏を中心に言語聴覚士や栄養士、看護師や医師など多職種が連携し、365日体制でリハビリを実施。質と量を共に充実させて、機能改善が期待できる回復期のタイミングを逃さない。

 「チームには同じ方向を向いて技術を研鑽し、患者さんを良くしようと団結することが、求められます」(山本氏)

 チームは患者家族のサポートも欠かさない。在宅復帰後の不安に耳を傾け、一緒に介助法の練習も行う。こうした心が通ったリハビリの実施が同院の最大の特長といえるだろう。

 「リハビリは大きく変わってきています。ロボットによるリハビリなどの技術も登場していますが、私たちは患者さんの話し相手になって、一緒に取り組み、目標に向かって共にトライする。『人は人が治す』ということを胸に、日々患者さんに向き合っています」と伊藤氏は力強く語る。

取材/三戸部亜希子

One for all, all for oneのリハビリに取り組む

 「回復期リハビリをスポーツに例えるならラグビー。チームワークが重要で、One for all, all for one(一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために)という思いの下、全員一丸となって患者さんの機能回復を目指します」

 そう話すのは、2020年6月に就任した中澤良太院長だ。中澤院長は整形外科医。スポーツによる外傷や疾患、関節の治療にも力を入れており、整形外科疾患の患者も増加した。「グループ病院(加納岩総合病院)で手術を執刀し、同院での回復期リハビリまで、一貫したフォローを行っています」。手術の低侵襲化が進み、早期退院が実現しているも、機能が十分に戻らないまま生活を送る患者もいると中澤院長は言う。「当たり前のようにできることを目標設定とし、そこに向けチームでスクラムを組んでいます」

 手術もリハビリも全力疾走の中澤院長。今後は「病院の外へ飛び出し、地域での疾患啓発を通じて、周辺住民の方々とコミュニケーションを図っていきたい」と情熱を燃やす。

院長

中澤 良太

日本整形外科学会認定
整形外科専門医

リハビリテーション部副部長
理学療法士

伊藤 克浩

リハビリテーション部副部長
作業療法士

山本 伸一

医療新聞社
編集部記者の目

窓の外には南アルプスや富士山、奥秩父の雄大な山々を望む、自然豊かな環境の山梨リハビリテーション病院。リハビリに大きな定評のある同院だが、中澤良太院長が新たに注力しているのがスポーツ医療の提供だ。中澤院長は甲子園出場経験もある元高校球児で、大学ではラグビー選手だったスポーツマン。そんな中澤院長の診察には、子どもからサッカー選手といったトップアスリートまで、スポーツに勤しむ多くの患者が集まる。「県内のスポーツ選手全員を応援したい」と熱いまなざしの中澤院長の取り組みに、今後も注目したい。

Information

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山梨リハビリテーション病院

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【診療科目】 内科、整形外科、リハビリテーション科、
脳神経外科、神経内科、小児科

【診療時間】 月~金9:00~17:00

【病床数】 135床(3病棟)

〒406-0004 山梨県笛吹市春日居町小松855

TEL.0553-26-3030(代)
FAX.0553-26-4569

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