• 埼玉県

医療法人社団康幸会

かわぐち心臓呼吸器病院

高い技術とチームワークで
命を守る医療を目指す

慢性期のフォローを含め総合的な救急医療を提供

 生命に関わる胸部疾患の救急医療を担う、かわぐち心臓呼吸器病院。2015年の開院からわずか5年で、年間救急搬送は2082件※と、埼玉県南部救急医療の要となっている。同院が地域の信頼を得ている理由の一つは、循環器ケアを重視した急性期集中治療の提供にあるだろう。

 「患者さんは臓器障害を伴う場合が多く、全身状態をしっかり管理して集中治療を担う医師と、循環器内科医師が連携した治療を提供しています」と話すのは佐藤直樹副院長だ。

 さらに治療後もきめ細やかなケアで、患者だけでなく近隣の病院やクリニックとも信頼関係を築いている。
 「再発予防を目指すフォローとして転院後も病病・病診連携を取り、定期的に患者さんを診させていただいています。こうした慢性期ケアがきちんとできてはじめて『急性期治療がうまくいった』と考えるからです」

得意分野をもちながら一体化したチーム医療



 同院医療チームの大きな特長は、診療科の垣根なく一体化したチームで連携し、情報共有を図るスタイルにある。さらに医師全員が基本的な救急医療のスキルを身に付けており、そのうえでそれぞれが得意とする治療に特化して質の高い医療を提供している。

 中でも飛躍的に症例数を伸ばしているのが循環器内科の不整脈の治療だ。20年度のカテーテルによる心筋焼灼術(アブレーション)の件数は362件※に上った。不整脈は、その病態の複雑さから疾患への深い理解と知識、治療経験が要される。そのため、不整脈に特化して治療にあたる施設は多くないという。

 「頻脈性不整脈、心房細動を中心に、心筋焼灼術や植え込み型徐細動器による治療の安全な実施を目指しています」と循環器内科科長の油井慶晃医師は話す。

「併存疾患があるなどの難治症例も、合併症管理をしっかりと行い、治療のタイミングを逃さないよう、心臓血管外科と連携して対応しています」

適時・適切な治療法で患者の命と生活を守る



 救急を要する破裂大動脈瘤や大動脈解離の治療を担うのが心臓血管外科だ。「緊急時は患者さんの容態を第一に優先すべきと考えています。だからこそ同院では二つ返事で受け入れ、搬送後30分ほどで治療を行う体制を敷いています」と話すのは同科部長の金森太郎医師だ。緊急対応には医師が同乗して患者を迎えに行くドクターカーも用いる。

 さらに救急以外の症例で低侵襲手術にも注力する。弁膜症ではMⅠCS(小開胸手術)という方法で右胸脇の小さな創で手術を行う。未破裂大動脈瘤にはカテーテルを用いたステントグラフト治療も実施。こうした術式により、高齢など治療が難しかった患者への実施や、早期の社会復帰も望めるようになっている。

 「治療のメリット・デメリットをきちんとご説明し、開胸手術も含め、患者さんに最適な治療を提供しています」

 築き上げてきた診療体制は地域で大きな役割を果たしている。さらに金森医師は「市民講演会などで疾患を啓発して社会貢献したい」と抱負を語る。

取材/三戸部亜希子

副院長・循環器内科部長・内科統括部長


佐藤 直樹

さとう・なおき●日本医科大学卒業。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心不全学会理事ほか。

循環器内科科長

油井 慶晃

ゆい・よしあき●日本医科大学卒業。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本老年医学会認定老年病専門医。

心臓血管外科部長

金森 太郎

かなもり・たろう●金沢大学医学部卒業。日本外科学会認定外科専門医。日本心臓血管外科学会認定心臓血管外科専門医。

医療新聞社
編集部記者の目

 埼玉県南部の救急医療の要、かわぐち心臓呼吸器病院。取材に訪れた日も、救急車のサイレンがしきりに鳴り響き、その受け入れの多さを実感した。こうした急性期医療はもちろんのこと、近年はアブレーションを主とした質の高い不整脈治療への取り組みにも注力している。「不整脈は自覚症状がない場合が多いため、適切な治療時期を逃さないよう早期発見・治療を重視しています」と循環器内科科長の油井慶晃医師。救命救急とともに日常の丁寧な診療で地域住民の命を守る同院に、今後も大きな期待が高まるだろう。

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リハビリテーション科、救急科、麻酔科(能見俊浩)

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