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日本赤十字社

水戸赤十字病院

ダビンチによる
ロボット支援下手術で
先導役として医療を提供

ロボット支援下手術を幅広い診療科で導入

 茨城県の水戸赤十字病院では2013年9月に泌尿器科でダビンチを導入し、現在では外科、産婦人科の3つの診療科でロボット支援下手術を行っている。

 外科では、16年3月、茨城県で初めて(※1)ロボット支援下胃がん手術を導入した。(18年、保険適用となった)。低侵襲な上、両立が難しい根治性と機能温存のバランスもよい。「最も大きなメリットは術後の合併症発生率が顕著に低いことです」と上部消化管外科部長の清水芳政医師は力を込める。

 幽門側胃切除に加え、胃全摘、噴門側胃切除、幽門保存胃切除までダビンチを採用し、県内の胃がんのロボット支援下手術をリードする。ダビンチ導入以来、外科では151例(※2)の実績を重ねてきた。

 産婦人科は18年から子宮がんと良性腫瘍でロボット支援下手術を実施。3本のロボットアームが子宮をけん引して広く視野を確保する。脂肪が多く腹部が下がってきやすい患者でも、ロボットアームで腹壁を吊り上げるため、手術がしやすくなった。茨城県で唯一(※1)、子宮脱などの骨盤臓器脱でも採用。骨盤の深い場所での縫合をより確実に行えるようになった。

 第一産婦人科部長の杉山将樹医師は「ダビンチでの手術の方が創部痛を訴える患者さんが少ない」と語る。出血や痛みが少ない低侵襲な手術のため、術後の回復が早く、社会復帰も早い。

 泌尿器科では前立腺、腎臓、膀胱疾患でロボット支援下手術を行っている。これまでに524例(※3)の実績があり、数が多いのは前立腺がんに対する前立腺全摘除術だ。

 腎臓では腫瘍のみの部分切除に使用する。「長時間血流を遮断すると腎機能が低下するため、短時間で縫合できるロボット支援下手術は大きなメリットがあります」と語るのは第一泌尿器科部長の野澤英雄副院長。膀胱がんの手術も、出血が非常に少なく済む。「これからも、より多くの領域で様々な疾患にロボット支援下手術を適用していきたい」と野澤副院長は話す。今後も同病院ではダビンチを更に活用して、よりよい治療を地域住民に提供していく。

※1 関東信越厚生局ホームページ「施設基準の届出状況(全体)(届出受理医療機関名簿)」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/kijyun.html

※2 2016年3月~2021年8月

※3 2013年9月~2021年8月

上部消化管外科部長
放射線科部長
医療社会事業副部長

清水 芳政

第一産婦人科部長

杉山 将樹

副院長 
第一泌尿器科部長

野澤 英雄

医療新聞社
編集部記者の目

今回取材した診療科は外科、婦人科、泌尿器科の3つ。もともと腹腔鏡下手術をさまざまな診療科で行っていた水戸赤十字病院では、ロボット支援下手術に関しても茨城県で初めて導入した術式が多い。患者に、よりよい医療を提供したいという、同院の強い思いを感じた。ダビンチの新しい術式の導入に意欲的で、これからも茨城県のロボット支援下手術をリードしていく。

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