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宗教法人 在日本南プレスビテリアンミッション

淀川キリスト教病院

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心臓血管外科、心臓血管センター
MICS、「ウルフ -- オオツカ法」など
低侵襲手術を採用し、患者の負担を軽減

心臓の病気は治療できる病気になった

 患者は暗夜に道に迷って途方にくれている旅人に似ている。まして重病を患うと、いっそう不安が募る。

 大阪市東淀川区柴島にある淀川キリスト教病院は旅人を導く巨大な灯台のような存在。1955年、フランク・A・ブラウン医師によって開設されて以来、キリスト教精神に基づく「全人医療」を掲げ、徹底して患者に寄り添ってきた。

 「心臓の病気は現在では治療できる病気になりつつあります。治療が早ければ早いほど完治する可能性も高い。できるだけ早い段階から治療を始めることが肝心です。同世代の人より早く息があがる、不整脈がある、横になると苦しく感じる、足がむくむ、腎臓の機能が悪くなったなどの症状がある方は、ちゅうちょせずに医療機関を受診していただきたいですね」と心臓血管センターの莇隆センター長は話す。

 心臓血管センターでは循環器内科と心臓血管外科のドクターが密接に連携、心臓弁膜症をはじめ、心房細動などの不整脈、冠動脈疾患、大動脈疾患、末梢血管疾患といった疾患のチーム医療にあたっている。

体に負担の少ないMICSで心臓の手術を実施

 進行した心臓弁膜症に対する治療の中心は外科手術。同センターでは体に負担の少ないMICS(小切開低侵襲心臓手術)で行うことが多い。

 「昔の手術は胸の真ん中を胸骨も含めて大きく切開しましたが、MICSは胸の横を4~8㌢切開するだけで、胸骨を切る必要がありません。高度な手技が必要ですが、傷が小さく目立ちにくい、出血量が少ない、感染リスクが少ない、術後の回復が早く、リハビリを進めやすいといったメリットがあります」と心臓血管外科部長の佐藤俊輔医師は話す。

 MICSを施行するためには高度な手技と豊富な経験が必要で、可能な病院は限られる。特に難易度の高いMICSによる大動脈弁手術を、同院では継続して行っており、開胸器を使用しない完全内視鏡下のMICS手術も施行。臨床だけでなく、研究にも熱心で論文発表にも積極的に取り組む。関西におけるMICSの臨床・研究拠点のひとつとなっている。

心房細動はウルフ-オオツカ法で治療

 不整脈の一種、心房細動には「ウルフ-オオツカ法」という低侵襲手術を採用した。心房細動は心房がけいれんしたように細かく震え、血液をうまく送り出せなくなる疾患。問題は心房内で血栓ができやすくなり、それが全身に運ばれ、血管を詰まらせてしまう危険性があることだ。脳梗塞の原因ともなる。

 MICSと同様、胸の横の数カ所を数㌢切開し、そこからデバイスを挿入し、血栓ができる部位である左心耳を切除。あわせて外科的アブレーション術(焼灼術)で心房細動そのものを治療する。

 「開発者の大塚俊哉先生(ニューハート・ワタナベ国際病院)ご自身の手術を見学するなどして手技に磨きをかけました。抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)は不要となり、脳梗塞も予防できるとあって患者さんにとってメリットが大きいんです」と佐藤医師。人工心肺装置も使用しない。ただMICSと同様、高度な手技が必要で、関西でウルフ-オオツカ法を先導的に施行し、高い評価を得ている。

他科のドクター、スタッフと緊密な連携

 「病院の特徴としてドクター、スタッフの仲がいいことがあげられます。しょっちゅう意見を交換し、情報を共有しています。少しでも困っていることがあれば、遠慮なくご相談ください。他科のドクター、スタッフと密な連携を取りながら診療にあたります」と莇医師は力を込めた。

 取材・文/岡林秀明

院長補佐・心臓血管センター センター長 

莇 隆

心臓血管外科 部長

佐藤 俊輔

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