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松阪市民病院

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超音波内視鏡治療と院内の連携が
看板の消化器センター

県内で先がけとなる消化器センター開設

 JR・近鉄「松阪駅」南口から西に約1・4㌔。松阪城跡に隣接する「松阪市民病院」の歴史は戦後間もない頃にさかのぼる。1946年9月に前身の「健康保険松阪市民病院」が開設。51年に市に経営委託後、昭和から平成にかけて棟の新設を重ね、現在の病床数は328を数える。

 同院の歩みの中で、大きな節目が2013年。県内で先がけとなった、消化器センターの開設だ。
「私たちが重視するのは、診療科をまたいだ連携です」と話すのは、22年1月に同院の消化器センター長に就任した消化器内科科長の西川健一郎医師だ。

 消化器センターは内科、外科、内視鏡センターの三つで構成。内科では消化管と肝臓などの疾患および、これら臓器のがんについて、早期の発見と治療に努めている。西川医師がこう語る。

「例えば急性胆嚢炎の場合、治療方針は摘出手術、もしくは経皮的にチューブを入れて手術するドレナージ、手術適応がない人への超音波内視鏡での治療などです。もし、手術となった場合、診療科の垣根を取り払い、外科医との連携が必要不可欠です。診療科をまたぎ、適切な治療方針を迅速に提供できると考えました」

  • 診療科の垣根を越えて、消化器の悪性疾患の手術に挑む

全国でも数少ない超音波内視鏡治療は年々増加

 連携は院内各所にも見られる。内科と外科の外来ブースを一カ所に集約。内科と外科が頻繁かつ緊密に相談できる。外来ブースの裏に内視鏡センターを設置。内視鏡検査で見つけた病変について、外科医と内視鏡画像を見ながら相談できる。

 さらに、同院が県内屈指と誇るのが、胃カメラの先端に超音波が付いた内視鏡(EUS)による検査件数だ。

「私が着任した7年前に比べ、EUS検査のスクリーニング数は2倍、穿刺生検の数は3倍です。県内屈指の施設に成長しました。また、EUSを使った治療的超音波内視鏡は、全国の医療機関でも数少ない先進的治療で、当科では年々増えています」と西川医師。

 例えば、胃内から肝内胆管へと穿刺して、胆管にステントを留置するEUS‐HGSや、EUS‐AD(超音波内視鏡下経胃的膿瘍ドレナージ)も積極的に実施し、ノウハウを蓄積している。

「乳頭部から胆嚢にステントを留置する高難度手技のEGBSは東海地区でも屈指の治療件数です」という。非常に頼もしい治療実績だ。

 同センター内の外科は消化器の悪性疾患から救急疾患まで幅広く対応している。特にがんは、その進行度に応じて根治性、安全性を高めながら、患者さんファーストの治療に取り組んでいる。

  • 消化器センターの透視室では最新医療機器での治療が行われている

内科と連携し、診断からがん手術まで時間を短縮

「患者さんの年齢、基礎疾患、希望などを考慮したオーダーメイドの治療を心がけています」と語るのは、消化器副センター長で外科科長の藤永和寿医師だ。

「診療は内科との連携が必要です。内科での診断後、治療のスムーズさが大切です。がんと診断されて、手術治療までの時間が長いと、患者さんは不安が募ります。当科では内科での精査中から、手術の予定を組み、手術までの待機時間を短縮できます。高齢の患者さんの場合、入院前の日常生活動作を退院時に維持できるよう、術後のリハビリに力を入れています」(藤永医師)

 センターの目標が「3S」

安全(safety)、迅速(speedy)、確実(steady)。この三柱を念頭に連携の有用性を内視鏡センター長の田中翔太医師が強調する。「ここでは主に、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で病変を切り取ります。しかし、進行がんやステージ4でがんを切り取れないケースがあります。その時、外科、内科、病理診断科、放射線科と連携し、迅速で早く確実な診断、必要に応じて治療介入しています」(田中翔太医師)とさまざまな事態に対応している。 最後に西川医師がこう結んだ。「松阪市民病院は公的病院ではありますが、EUSを使う先進的治療も提供できるのが最大のアピールポイントです。消化器疾患治療はぜひ、当センターにお任せください」

消化器センター長
消化器内科科長

西川 健一郎

消化器副センター長
外科科長

藤永 和寿

内視鏡センター長

田中 翔太

医療新聞社
編集部記者の目

「医師は病名ばかりを注目してしまいがち。それだと、治療が通り一辺倒になる。より良い治療方針の提供につながるよう、患者の“背景”もみるよう心がけています」という、消化器センター長の西川健一郎医師の言葉が記憶に残っている。場合によっては、患者が一人暮らしなのかどうか、誰が面倒をみて、食事を作るのかまでも聞くという。
「そのキーパーソンに対して、食事や栄養の指導をするのも、診療の一環です。それだけに、患者さんの気持ちに慎重に寄り添い、心の距離を縮める努力も欠かせません」その真摯な姿勢が、地域住民による病院への高評価につながっている。

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