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独立行政法人国立病院機構

村山医療センター

豊富な経験、最新の医療技術で
病院全体が一丸となり
骨・運動器疾患に挑む

骨・運動器の分野で高度な低侵襲手術をリード

 東京都武蔵村山市に位置する村山医療センターは、骨・運動器の分野で、その名を全国にとどろかせている。中でも脊椎脊髄疾患治療では、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など患者数が多い疾患から、脊髄損傷や脊椎カリエス、側弯症など難度の高い手術まで幅広く対応する。

 手術の特徴は、国内をリードする低侵襲な手術が行われていること。たとえば頸椎除圧術は顕微鏡下で実施、極力筋肉を切らないよう心掛ける。この低侵襲頸椎除圧術(スキップ・ラミノプラスティ)では、痛みを抑えられるだけでなく、出血や合併症も少なくて済むため、患者の体への負担は少ない。

 腰椎固定術ではアメリカで開発されたCBT法(皮質骨軌道法)を採用。スクリューを背骨より内側に入れることで、小切開での治療が可能となった。

 そんな高度な手術を可能としているのは、1941年の開院から蓄積されてきた脊椎脊髄治療の技術と経験、それを受け継ぐ整形外科医の層の厚さだ。毎朝15名前後の医師が参加するカンファレンスを開き、全手術症例を議題に上げ、適切な治療方針を決定する。

「患者さんも技術の熟達を目指す医師も、全国から集まっています。脊椎脊髄疾患では四肢にまひや痛みが出ても我慢してしまう方が多い。しかし症状が悪化すると、手術をしても改善が難しくなることも。何か違和感がある方は早めにお越しいただければ」と谷戸祥之院長は話す。

チーム医療で側弯症治療を実践

 治療に取り組む疾患のひとつが子どもの側弯症。思春期に多く、背骨が捻れながら曲がっていく疾患だ。弯曲の角度(傾きの強い椎体間の角度:コブ角)が25〜30度では装具治療を、45〜50度を超えると手術を選択。治療の中心は4名の医師で構成される側弯症チームだ。

「対象がお子さんのため、夏や冬など長期休みの時期に手術が多くなります。基本的に側弯症担当の医師2名に加え、複数のスタッフで手術を行い、2チームに分かれ、2つの手術を同時並行で進めることも」と側弯症チームの矢内嘉英医師は語る。

 手術では病態に応じて、後方から背骨にスクリューを挿入し、ロッドを連結することで側弯を矯正する方法や、前方から矯正する方法がある。子どもにとっては人生で初めてで、かつ侵襲も大きな手術となることが多いため、通院時から入院、退院後まで、医師だけでなく看護師や病棟スタッフも、患者やその家族のケアに気を配る。

 一方で、成人期に加齢性変化で引き起こされる側弯症の治療にも取り組む。背骨の脆弱性がある、柔軟性に欠くなどの理由から子どもよりも侵襲の高い手術となり、2回に分けて実施することが多い。また、術後のリハビリにも時間をかける。

「同じ側弯症でも、子どもと成人ではさまざまな要素から手術の適応や方法が異なる。幼少期に保存療法を選択した場合にも、子どもの時期の側弯が成人期でも徐々に進行することがあり、定期的に通院していただくこともあります」と矢内医師。年齢を問わず、患者を長期にわたり支えていく。

  • 2019年に完成した新病棟は広く、廊下での歩行リハビリも可能

健康寿命延伸のため骨粗鬆症などの啓発にも注力

 疾患啓発にも力を入れる。ホームページにさまざまな骨・運動器疾患の解説記事を掲載しているほか、院内で待つ患者向けに骨粗鬆症などの啓発動画を流した結果、受診者や検診参加者が増加した。

「特に骨粗鬆症のリスクが高い女性の場合、40~50代では検診を受けていただきたいのですが、武蔵村山市でも検診受診率は低いのが現状。他にもマスコットキャラクターやそのグッズを作成するなど、さまざまな方法で呼びかけています」(谷戸院長) 近年注目を集めているのは、iPS細胞に関する共同研究だ。脊髄損傷の亜急性期患者に対し、iPS細胞由来の神経前駆細胞移植手術を慶應義塾大学病院で行ったあと、同センターに転院してリハビリテーションを実施、機能回復を目指している。経過は順調だ。

病院長

谷戸 祥之

日本整形外科学会認定
整形外科専門医

整形外科医師

矢内 嘉英

日本整形外科学会認定
整形外科専門医

医療新聞社
編集部記者の目

 1941年に陸軍病院として創設された。昭和期から脊椎カリエスなどの治療に取り組み、現在も脊椎脊髄疾患治療をリードする村山医療センター。研鑽を積むために全国から整形外科の医師が集まり、「村山大学」と呼ばれるほどだ。患者も全国から訪れ、まひなどが悪化する前の段階で治療に取り組んだことで、リハビリを行うことができる状態までの回復につながったケースもある。

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