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地方独立行政法人加古川市民病院機構

加古川中央市民病院

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地域がん診療連携拠点病院の実例

前述のように「がん対策推進基本計画」に基づき、厚生労働省は全国どこでも質の高いがん医療が提供できるよう、がん診療連携拠点病院の整備を進めてきた。実例として加古川中央市民病院を取材した。

 兵庫県の東播磨圏域における地域がん診療連携拠点病院に指定されているのが、加古川中央市民病院だ。がん集学的治療センターを中心に、地域のがん治療に尽力している。

がん集学的治療センターでは、手術療法、薬物療法、放射線療法、緩和ケア、がん相談支援を5つの柱としてがんの治療にあたっている。地域がん診療連携拠点病院(高度型)を目指すべく、2021年に緩和ケアセンターを立ち上げ、切れ目のない緩和ケアの提供に力を注いでいる。医師だけでなく、がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師、緩和薬物療法認定薬剤師、公認心理師、事務員など多職種の人材が集結した。

 すべてのがん患者を対象に「つらさと気がかりの問診票(IPOS)」で苦痛のスクリーニングを実施している。この内容をデータベースにて管理し、電子カルテに患者の情報を記入すると、その内容がすべてデータベースに反映される。これによってメンバー全員が、患者の状態をリアルタイムに把握することができる。さらにデータ全体を分析し、それぞれの診療科でどのように対応したらよいかを話し合うことができる。

がん治療に関するあらゆる相談に対応

 がん診療連携拠点病院の活動は、院内だけにとどまらない。「院内に地域連携室という部署があり、ほぼ毎週地域内の医療機関を訪問しています。定期的に顔を合わせることで、他院や地域の問題が見えてきます。治療に関する好事例も聞き取ることができます。こうした情報を当院の広報を通して、地域内の医療機関に発信しています。開業医の先生から紹介された患者さんに関しては、Web会議を開いて、治療の経過と現状をお知らせしています」と金田邦彦がん集学的治療センター長は話す。

 また、がん相談支援室は昨年、国立がん研究センターの認定がん相談支援センターに認定された。患者やその家族が、がんに関わるあらゆる相談を無料で受けられる。同院に受診歴がなくても利用でき、電話による相談も可能だ。さらに地域の医療従事者の相談事や治療に関する情報収集にも対応している。まさに地域全体に開かれたがん治療の窓口といえるだろう。

 このように、がん診療連携拠点病院は地域全体のがん医療のクオリティアップに貢献すべく多くの使命を果たしている。

加古川中央市民病院 副院長
がん集学的治療センター長

金田 邦彦(かねだ・くにひこ)

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