検査・治療・予防までワンストップで提供

「消化器がんは日本のがん患者数の上位を占めます※1。井口病院は内科、整形外科を中心に診療してきましたが、患者ニーズに応えるため、消化器疾患に注力していきます」と2022年着任の原田英明院長は話す。

「必要な医療に、いち早くアクセスできる」を理念に24時間Web予約体制を整え、消化器内視鏡のエキスパートが最新のデバイスで診療にあたる。連携している２つの消化器内視鏡クリニック（足立区院、千代田区院）とともに、がんをはじめとした消化器疾患の検査・診断・治療、フォローまでワンストップで提供する。

　検査・診断はクリニックが中心。腫瘍病変の診断のほか、日帰りポリープ切除、出血性胃潰瘍の止血、胃アニサキスの異物除去などの治療まで実施する。

　早期の大腸がんを発見した場合、井口病院にて水浸下での内視鏡的粘膜下層剥離術（WP-ESD法）を行う。

「まず病変の粘膜下層に穴を掘り注水します。水中で剥離を行うことで、熱損傷の抑制と拡大された術野で治療ができます」と消化器内科科長の岩城智之医師は解説。術後は合併症の原因となる切除部をクリップで閉鎖し、予防にも取り組む。入院当日に治療を行い、最短2泊3日の入院で患者の早期社会復帰を支援する。

　2025年には千住大橋駅近くの再開発エリアに移転を決定し、「消化器疾患の先端治療・検査」を柱とした救急受入れ対応可能な地域ニーズに貢献する病院を目指す。

※1 https://ganjoho.jp/　がん情報サービスより

取材・文／五十嵐幸司