• 京都府

よしき往診クリニック

正義と連携で
日本の医療の刷新を目指す

多職種の訪問診療チーム KISA2隊」を始動

 京都市西京区にある「よしき往診クリニック」は30~40代の医師とスタッフが中心の活気あふれる在宅療養支援診療所だ。医師以外の院内スタッフが訪問に同行するメディカルコーディネーター制を導入。医師が訪問先で診療に専念できるよう、同行員が電子カルテを入力するなどメディカルケアをサポートする制度だ。

 遡ること2021年。人々がコロナ禍であえいでいた頃、院長の守上佳樹医師は看護師、歯科医、薬剤師、栄養士、理学療法士、介護士など従来にない多職種で新型コロナ訪問診療チーム「KISA2隊(きさつたい)」を結成。当時といえば、コロナ禍で医療は崩壊寸前。自宅で発症するも、入院先が見つからず搬送されないまま命を落とす事例も起きた。そんな悲劇を防ごうと、守上院長は京都府入院コントロールセンターと連携。京都市全域の150万人弱を対象に、KISA2隊による訪問診療を始動させた。この比類ない活動が医療逼迫の緩和に貢献した。

 「現在、KISA2隊は一般社団法人となり、20の都道府県、27のエリアで活動中です。10月には、ケニアでも活動を始めました。都道府県の県域を越え、次世代の医療に繋がる情報共有の場として機能しています。私達はKISA2隊を従来にない、地域や職種、診療科の垣根を超えた、日本有数の医療連携チームにするつもりです」と守上院長は笑顔を見せる。そうしたKISA2隊の活動を全国に広げるため、守上院長は日々奔走している。

 「隊の活動を理解してもらえるよう、各地で医療に従事する方々に地域医療の進め方、在宅医療の立ち上げなど、私たちが得た知見を共有してもらっています。もし、他院との連携に苦労していれば、提携を目論む病院の医師や地域連携室のメンバーに会うこと、病院主催の勉強会への参加を勧めるなど、より具体的にアドバイスできるよう、心がけています」

地域医療連携推進法人として24時間対応の在宅医療を構想

 かつてKISA2隊を始動させ、医療逼迫を救った京都市に対し、守上院長はある制度を利用して、在宅医療のさらなる充実を目指す。それは各都道府県知事が認可する制度、地域医療連携推進法人。医療機関同士が相互に機能を分担、連携を深め、地域医療に貢献する一般社団法人だ。

 「より高みを目指す、志を同じくする各医療法人が集い、連携。1つの社団法人として地域医療に貢献するイメージです。この大きな組織を使い、24時間対応、サポートできる在宅医療を京都市で実現したいと考えています」

従来の活動で得た知見を各地の医療機関にアドバイス

 守上院長がしきりに強調するのが「連携」だ。在宅療養支援診療所同士がタッグを組む意義についても言及する。

 「例えば、ある地域の3つの診療所が個別に24時間体制を敷くとします。これだと3つの施設で1日に計72時間が必要ですよね。しかし、この3つが連携すれば、1日が24時間体制で済む。これにより、医師のローテーションを効率的かつ余裕をもって組むことができます。医療の逼迫や疲弊を避けることも可能です」

正義感のもと、真に効率的や公平な医療が目標

 守上院長は日本の医療が独自性を保ち、発揮するために必要なキーワードを掲げる。それがジャスティス(正義)。

 「日本の医療は皆保険制度が基盤です。国民の保険料や税金などに支えられています。医療従事者は多くの助けを背中に背負って働く、そういう職業のはず。それはビジネスや仕事とも言い表せない。人々の健康に貢献するという崇高な思いや情熱をジャスティスという言葉に込めて、表現しています。正義感を持ち、真に効率的で公平に医療に従事するという考えに従い、医療機関の連携、チームを組みたいのです」

 診療科や職種の垣根は取り払うべし。集まった精鋭たちがチームとなり、志高い人物がリーダーシップを発揮、医療を牽引すべきと守上院長は語る。診療所の地元、京都市西京区についても、あるべき姿を思い描く。

 「西京区の区民なら安心だ、という意識を持ってもらいたいですね。一人暮らしの高齢者でも、ここでは在宅医療で断られることはないと理解されること。さらには質の高い医療が昼夜問わず、24時間体制で受けられるといったことが、区内での共通認識になってもらうのが理想です」

院長

守上 佳樹

もりかみ・よしき●六甲学院高校55期生、広島大学学校教育学部卒業を経て金沢医科大学卒業。京都大学医学部附属病院研修後、同大学老年内科医局を経て現職。京都府警西京警察署警察医、京都市立松陽小学校学校医

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