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医療法人社団英明会

大西脳神経外科病院

急性期治療から術後のケアまで
包括的な医療を提供

東播磨臨海医療圏の中心的医療機関

2000年に兵庫県明石市に開院して以来、大西脳神経外科病院は脳神経疾患に特化した単科病院として、脳卒中の急性期治療で一時代を築いてきた。東播磨臨海医療圏の中心的医療機関の責務を担い、地域医療に貢献している。

現在、病床数は急性期122床(SCU6床、HCU6床を含む)、回復期50床の計172床。職員数は295名。脳神経への外科的、内科的治療に従事するほか、脳血管内治療、脊椎・脊髄疾患への対応、けいれんやてんかんの診断、治療など、扱う領域の裾野を広げてきた。

同院は脳卒中患者の受け入れ体制が万全なことで知られる。医師のほか看護師、放射線技師などのコメディカルが機敏かつ慎重に患者を受け入れる。最新の血管撮影装置を駆使して脳内の画像検査を迅速化し、患者を搬入して約30分後に治療を始められる。脳卒中のうち、特に多い脳梗塞はt-PA静注療法や血栓をカテーテルでからめ取り、掻き出す機械的血栓回収術で対応。くも膜下出血や脳出血を引き起こす脳動脈瘤は鼠径部から挿入した極細のマイクロカテーテルで治療する脳動脈瘤コイル塞栓術で治療する。

「瘤のくびれが思いのほか広いなど、コイル塞栓術が適さない場合は、ステントを留置して瘤内への血流を防ぎ、動脈瘤を血栓化させて治癒するフローダイバーターステント治療を選びます」と話すのは2023年4月、同院の理事長・院長に就任した大西宏之医師だ。

「20年以上にもわたり脳卒中治療に尽力したおかげで、今では『脳外科といえば大西』とまで言ってもらえるまでに成長できました」と笑顔を見せる。

脳外科専用MRIを導入し、望ましい治療成績に

「当院が開院する前、近隣には、脳神経外科を担う医療機関がない、脳卒中治療の過疎地でした。そこで、開院してから約10年間は脳卒中治療の基礎固めとして、患者さんを昼夜問わずに受け入れられる救急体制を確立、早々に、脳外科専用のMRIを導入しました。24時間365日、脳内の断層画像を撮影できるようになり、診断能力が向上、治療成績は望ましいものになりました」

同院は脳卒中が疑われる急病患者を円滑に搬送するために、救急隊員が症状をチェックリストに記載できる連絡表、プレホスピタルレコードを全国でいち早く導入したことでも知られる。

「脳卒中治療は時間との勝負。発症したら、なるべく早く治療し、脳の損傷を抑えなければなりません。そのため、救急搬送の開始時点で脳卒中と分かれば、より早く治療へと進められます。そこでプレホスピタルレコードを導入し、救急隊と協力して運用し始めたのです」
こうして、脳神経外科のエキスパートが診断治療に当たる医療機関として頭角を現し始める。開院から約10年を経て、その後は先端機器を活用した、次世代の医療へと舵を切る。複数の最新撮画手段を用いるマルチモダリティーを駆使した脳神経外科手術や脳血管内治療などの低侵襲治療に注力。さらに名声を高めた。

集束超音波治療でパーキンソン病などにも対応

「また、当院では手足や頭、声などが震える本態性振戦や動作緩慢などの運動症状を起こすパーキンソン病には、開頭しない外科的治療の集束超音波治療が選べます。これは超音波発生素子を埋め込んだ治療ヘルメットを頭部に固定し、震えを起こす神経回路の視床腹側中間核に超音波を集束、熱凝固させる治療です。提供できる治療法を幅広くして、その中から患者さんにとって、より良いものを選べるのが当院の特徴でもあります」

大西医師はこれからの同院の在り方について思いを述べる。

「私たちはこれまで、主に急性期の脳卒中治療に尽力してきました。しかし、患者さんの要望や希望に耳を傾けると、治療のその先、時間的にも圧倒的に長い回復維持期のケアを求める声が少なくありません。そうした声を踏まえ、これからは、脳卒中の予防をはじめ、急性期医療、回復期、在宅医療まで包括的かつシームレスに携わりたいと思います。東播磨臨海医療圏に住む方々の健康管理および、寝たきりにならないための健康増進に努めます」

大西脳神経外科病院は住民にとって、ますます頼もしい存在になりそうだ。

文/星 裕一朗

理事長・院長
脳血管内治療主任部長
脳卒中センター長

大西 宏之

おおにし・ひろゆき●医学博士。大阪医科薬科大学非常勤講師。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医ほか。

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編集部記者の目

昨年4月の理事長兼院長の就任以来、大西理事長は「コロナ禍の前に状況にできる限り早く戻すことに努めた」と振り返る。感染対策に明け暮れた約3年間、患者とはマスク越しの会話に終始して、隔たりが生じた。業務が逼迫し、職員同士の人間関係の希薄化をも感じた。医療行為を脅かす不測の事態への備えが必要と痛感したという。
「患者さんと関わるなかで、お互いに信頼関係を築かなければ、良い医療が提供できるはずがありません。そこで、患者さんやそのご家族との関係性を再構築に努めています。医療スタッフにもチームとしての統一感が必要です。職員同士の親睦の場を復活させて、コミュニケーションの機会を増やしています。医師と患者、スタッフ、こうした人との関わりこそ、医療の原点であると強く認識したからです」
 治療における手技と同様、大西理事長は手腕をいかんなく発揮している。

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