• 沖縄県

南部徳洲会病院

患者優先の先進的な医療に
全力で取り組む

先進的な治療法・機器の導入にも力を入れてきた

南部徳洲会病院(沖縄県島尻郡八重瀬町)の動きはダイナミックだ。県南部の中心的医療機関として地域医療や救急医療、離島僻地医療に貢献する傍ら、先進的な治療法・機器の導入にも力を入れ、未踏の分野に挑んできた。

 放射線治療では2012年、放射線治療装置トモセラピーを、2020年、定位放射線治療専用装置サイバーナイフを、さらに2023年、最新型トモセラピーの運用を開始した。いずれも全国的にも、いち早い導入で、県内では先駆的な試みだった。

「最新型トモセラピーは従来と比べて治療にかかる時間が大幅に短縮しました。しかも照射は正確で、正常組織のダメージは小さく、患者さんの負担を軽減できます」

と話すのは副院長で放射線部統括部長も兼ねる平安名常一医師。秋田赤十字病院放射線治療部長、琉球大学病院放射線部准教授などを歴任した放射線治療のエキスパートだ。

  • 放射線治療部スタッフ

先進機器を使い分け、地域のがん治療に貢献

最新型トモセラピーは、高速に複雑な形状の照射が可能な汎用機。一方でサイバーナイフは細いビームを小さな病巣に集中的に照射する専用装置となる。

「サイバーナイフは5センチ以下の小さな腫瘍が対象です。ピンポイント照射で、数回の通院照射で治療が完了します。最新型トモセラピーは、それより大きく、複雑な形状の範囲に正確な照射が可能で、サイバーナイフと使い分けることで、さらに治療の幅が広がりました」(眞鍋医師)

「院内外の他診療科と積極的に連携し、前立腺がんの根治治療を中心として、再発転移がんのピンポイント治療、がんの痛みなど辛い症状を和らげる緩和治療にも注力しています。また患者さまの安心と納得につながるように、SNSを用いた情報提供(右頁QRコード参照)も行っています」(橋本医師)

 放射線治療科では、さらにがんカテーテル治療も駆使し、一人ひとりに応じた適切な治療を提供している。

  • 左から眞鍋良彦医長・平安名常一部長・橋本成司医長

ロボット支援手術は出血量が少なく、傷口が小さい

泌尿器科も最新の機器・治療法への目配りを欠かさない。2021年には国産手術支援ロボット、ヒノトリを導入、前立腺がん、膀胱がん、腎がんの外科手術に威力を発揮している。

ヒノトリは日本人の体形に合わせたコンパクトな大きさで、ロボットアームも8軸あり、精密な手術が行える。故障などが発生しても対応が早いという特徴もある。

  • 国産ロボット・ヒノトリによる手術風景

「ロボット支援手術は患者さんにとって出血量が少ない、傷口が小さい、術後の痛みが少ない、術後の回復が早い、機能が温存されるといったメリットがあります。特に泌尿器科の手術は複雑で病変部に手が届きにくく、高度な手技が要求され、手術そのものが困難なケースもありました。ロボットは、そうした技術的な問題点を解決してくれました」

と副院長兼泌尿器科主任部長の向山秀樹医師の言葉は熱い。泌尿器系がん疾患治療のベテラン。医師にとってもロボット支援手術は3Dで拡大されて術部が見やすい・鉗子が長くて深く狭い場所で操作可能・精密で正確な操作が容易にできるといったメリットがある。
もちろんロボット一辺倒ではない。「手術の難しい、進行した前立腺がんにはホルモン治療(アップフロント)から化学療法、遺伝子治療、緩和治療まで、一人ひとりのステージ・状態に対応した幅広いメニューを用意しました」(向山医師)。

文/岡林秀明

副院長
泌尿器科主任部長

向山 秀樹

むこうやま・ひでき

医療新聞社
編集部記者の目

 民間病院でありながらヘリポートを有し、離島医療や洋上救急にも対応。24時間365日救急患者を受け入れ、沖縄県民の命を守る「最後の砦」として機能している。1979年の開院。翌年(1980年)には沖縄県の民間病院として第1号の救急病院指定を受けたのを皮切りに、2007年、県のドクターヘリ事業と連携、2009年、ドクターカーを導入するなど一貫して救急医療に貢献。救急隊からの信頼も厚く、救急現場における救命活動も行っている。

Information

南部徳洲会病院

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〒901-0493
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【診療時間】 
放射線治療科 月~金   終日
泌尿器科   月・火・木 朝診 8:30~
月・木・金 昼診13:30~
       月・水   夕診17:00~