• 大阪府

医療法人 沖縄徳洲会

吹田徳洲会病院

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婦人科がんにダビンチを導入
低侵襲で患者の負担軽く

ロボット手術に特化した外来を設置

 院内に入ると広々としたエントランスホールが印象的な吹田徳洲会病院。2014年に大阪府吹田市の住宅街に設立され、患者やその家族に安心感と開放感を与える明るい雰囲気が持ち味の都市型病院だ。このホールで19年秋、子宮頸がん経験者による意識啓発イベントが開かれた。

 「若いお母さんから高齢者まで地域の皆さんに、婦人科がんについての理解を深めていただけたと思います」と話すのは副院長で産婦人科医の北田文則医師。

 同院は現在、産婦人科内に「婦人科ロボット手術外来」を設置し、北田医師ら日本婦人科腫瘍学会認定婦人科腫瘍専門医が、手術支援ロボット「ダビンチ」を使用した腹腔鏡手術を積極的に行っている。

 良性の子宮筋腫や早期の子宮体がんについてダビンチ手術は保険適用となっており、関西地方ではまだ少ない実施施設として、問い合わせが相次いでいるという。

  • ダビンチによる子宮全摘症例数 (2017年9月~20年6月、臨床試験を含む) 子宮体がん22例/子宮頸がん6例/子宮筋腫10例

鉗子が自在に動き骨盤内の可動域広く

 子宮全摘など婦人科疾患に対する豊富な手術経験を有する北田医師だったが、それまで全て開腹手術で行っており、腹腔鏡手術の経験はなかった。初めてサージョンコンソールと呼ばれるダビンチの操作台に座ったのは63歳の時。すぐにダビンチ手術の大きなメリットを認識したという。

 「手術器具を取り付けるアームを挿入する傷口が小さいうえ、術中にアームの支点が傷口を広げないようになっており、術後の痛みが抑えられます。術中の出血量が開腹術と比べると驚くほど少なく、術後の合併症も減るのが特徴です。圧倒的に患者さんの負担が軽くなったと思います」

 手術機器も、鉗子の先端部が自在に動き、狭く深い骨盤内でも、微細で精緻な動きが確保でき、従来の腹腔鏡手術では届きにくいところまでも操作できる。コンピュータ制御による手振れの補正も行われ患部の正確な切開などにつながる。

 北田医師は10倍の拡大視野が得られる3D映像についても高く評価する。開腹手術で直接患部を見るよりも鮮明で詳細な神経や血管の情報が得られるという。このため若い医師たちの技術と知見の向上にも役立ち、開腹手術を行う際にも新たな視点で臨むことができるのだ。

子宮温存のために検診で早期発見を

 「もちろん術前には開腹手術、ダビンチ手術のそれぞれの特性を患者さんにしっかり説明したうえで術式を選んでもらいますが、ダビンチを選ばれるケースが多い傾向にあります」

 北田医師によると、最近は初婚年齢が上がったことで、女性の出産年齢と子宮頸がんが発症する時期が近接する傾向にあり、治療が難しくなっているという。

 「子宮頸がん、子宮体がんなどは早期発見できれば、子宮を残すことも検討できます。定期的な検診を心掛けていただきたい」と北田医師は強調している。

副院長、産婦人科科長

北田 文則

きただ・ふみのり●鳥取大学医学部卒業。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会認定婦人科腫瘍専門医。医学博士

医療新聞社
編集部記者の目

 吹田徳洲会病院で婦人科領域へのダビンチ導入を指揮した北田文則医師は、子宮頸がん・子宮体がんの開腹手術のスペシャリストだ。そんな大ベテランが、ダビンチの映し出す術野映像の精細さに新境地を得たという。「直視するよりもよく見えるというのは驚きでした」と話した北田医師。さらに、手術後今にも歩きそうな高齢の患者もいて、その低侵襲性にもメリットを感じたという。腹腔鏡手術の経験がなかった北田医師が今や自在に操るダビンチ。同病院では臨床試験にも積極的に取り組み、婦人科疾患の適応拡大に備えている。

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