• 大阪府

JCHO 大阪病院

高度な技術で患者に寄り添い
機能回復とより良いパフォーマンスを目指す

疾患を全身から捉えてQOLの向上を支える

 大阪市西部地区を中心に中核病院としての役割を担うJCHO大阪病院。高度な医療と救急体制を備える同院は、近隣のみならず大阪府下の患者に頼られる存在だ。

 中でも整形外科は、前身の大阪厚生年金病院時代から戦後、手足を失った戦傷者の治療にあたるなど古くから整形外科領域の実績と歴史を重ね、国内整形外科の草分けとして定評がある。そんな同科でスポーツ障害・外傷に注力した診療を行うのがスポーツ整形センターだ。その高い医療技術に若年者から高齢者、さらには野球やラグビーなどトップアスリートまで、多くの患者から絶大な信頼が寄せられている。

 「高い機能回復を目指して膝、肩、手・肘それぞれに特化した医療を提供しています。アスリートのみならず高齢者のQOL(生活の質)向上にも力を入れています」と話すのは同科・スポーツ医学科部長の島田幸造医師だ。

 「スポーツ整形では、その部位になぜ痛みが生じているのか体全体を捉えて診断することが重要です。体を正常な状態に戻すだけではなく、特性や癖などを見極めて全身から整えることでより高いパフォーマンスを目指せる回復に注力しています」

 島田医師は野球肘に代表される上肢スポーツ障害のスペシャリストとして名を馳せている。携わってきた功績の一つには肘の関節鏡手術がある。スポーツ整形では筋肉や組織へのダメージを抑えるために、関節鏡(内視鏡)手術などの低侵襲な治療が求められる。ところが肘は、関節近くに太い神経や血管が走行することから、小さな切開での手術は難易度が高く、長らく敬遠されてきた。肘の関節鏡手術がほとんど行われていなかった30年前から、島田医師は先頭に立って取り組んできた。さらに肘関節の軟骨が損傷する離断性骨軟骨炎における自家骨軟骨移植でも、中心となって先駆的に実施してきた。膝や肋骨の軟骨の一部を肘関節に移植するその技術は国内外で称賛され、今では一つの治療法として確立している。

 「ゴールは選手が納得のいくプレーができるようになること。選手も体がどういう状態で、何をすべきか主体的に把握する必要があります。そこを丁寧に説明し、治療やリハビリテーションなど復帰への目標を設定して前向きな心がもてるようにアドバイスします」

 競技特性を考慮し、時にはポジション変更を提案することもある。「疾患を治すだけではなく、その先を見据えたパフォーマンスをアシストすることも大きな役割」と話す島田医師は「患者さんが笑って復帰する姿を見るのが本当にうれしい」と目を細める。今後は後進の育成にも力を注ぎたいと、情熱を燃やす。

取材/三戸部亜希子

統括診療部長
整形外科部長
スポーツ医学科部長

島田 幸造

しまだ・こうぞう●医学博士。大阪大学医学部医学科卒業。日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本手外科学会代議員、日本肘関節学会評議員、第33回日本肘関節学会学術集会会長ほか。

医療新聞社
編集部記者の目

 プロ野球チームのチームドクターの一員でもある島田幸造医師。トップアスリートはもちろんのこと、若年者のスポーツ選手もこぞって島田医師の元にやってくる。その理由は、治療前の120%のパフォーマンスを目指す医療提供だけではない。選手の今と未来をしっかり見据えた診療と、選手に寄り添うサポートにある。「ボール投げてみ」と、診察室から飛び出し、公園で選手と一緒に痛みの特徴やフォームを確認し合うこともあった。選手それぞれの特性を尊重した治療とアドバイスを行ってきた島田医師。復帰していく選手の笑顔以外に、うれしいことがあるという。「将来『医療者になって選手を支えたい』と言ってくれる子もいるんですよ」。そう微笑む島田医師に、スポーツを支える情熱と選手への深い愛情を感じた。

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