• 埼玉県

圏央所沢病院

  • 動画あり

患者に寄り添った透析医療を
テーマにした透析センター

高齢透析に特化したシステムを構築

 西武池袋線小手指駅と狭山ヶ丘駅の真ん中に位置する圏央所沢病院。開院以来40年弱、所沢・入間エリアの中核病院として地域の医療・健康管理に貢献し続けている。その同院が3本柱のひとつとして注力しているのが透析センターだ。

 同センターは2018年に本棟から独立、透析新棟を建設し、44床から112床へと増床した。増床に際しては、高齢透析に特化したシステムや治療内容などを導入。透析新棟は1階から4階まであり、1~2階が透析センター、3~4階が病棟となっており、透析患者の長期療養入院も可能となっている。また、法人内には隣接する有料老人ホームなどの介護施設があり、施設に入所しながらの通院透析も可能である。同法人内であることにより、介護施設と透析センターの連携が効率的に行え、患者も安心して透析ライフを過ごすことができる。

 志賀邦秋・透析センター統括(臨床工学技士)は、透析医療について次のように力説する。

「透析新棟ができるタイミングで、他にはない透析センターを作る意気込みで、透析治療環境の充実と透析医療の向上に力を入れました。現在の課題や今後の透析医療を考え、それらをコンセプトとして、チームを作って取り組んでいます。チーム数は現在15個程ありますが、例としましてはフットケアチームや運動療法チーム、栄養管理チーム、高齢透析サポートチームなどです。チーム毎に目標を決めて取り組み、システムやマニュアル作成、スタッフへの勉強会開催、またチームに関わる学会や研究会に参加しています。チーム運用は当院透析センターの大きな特徴です。チーム運用を通じて透析医療にスタッフが熱心に取り組むことで、スタッフ能力向上、透析医療の質向上、患者さんの生活の質向上に繋がります」

  • 「有料老人ホーム憩」の正面玄関
  • お食事も楽しめる中庭

スタッフと患者の信頼関係を築く

 同センターの透析療法は全床オンラインHDF対応。オンラインHDFは透析条件を幅広く設定することで、若い患者からご高齢の患者まで、予後の改善、栄養状態改善、ADL向上、合併症予防などが可能となる。合併症予防に関してはフットケアの一環として導入している「高濃度炭酸泉」も特徴のひとつ。透析患者は足の血流が悪くなる可能性が高い。そこで血流が悪くならないように血流測定、観察を行い、早めに対応していく。高濃度炭酸泉ルームで足を浸し、血管を拡張して血流を良くする。その他、血流改善に対しては赤外線治療や高気圧酸素療法も実施している。

 患者に寄り添った透析医療をテーマに取り組んでいることも見逃せない。透析患者は月13回(週3回の4~6時間)の通院が必須。当然、透析センターで過ごす時間は長くなる。患者とスタッフとの関係構築が重要になる。ひとり一人の患者にスタッフ1名が担当となり、生活環境や家族構成、性格も含めて把握する。血液検査をはじめとする各種検査結果を担当スタッフが医師と共有し、医師と相談しながら透析条件の提案や指導をおこなっていく。医師の指示の下、透析ライフに関わる担当スタッフが治療や日々の生活に寄り添いながら介入していくスタイルとなっている。

上を向いて通院できる環境作りを目指して

 治療だけではなく、待合環境にも配慮している。透析新棟は、ガラス張りの窓と吹き抜けにし、開放感あるホテルのロビーのような雰囲気を醸し出して観葉植物の設置やヒーリングミュージックも流している。待合スペースも通常のスペースの他、カフェのようなスペースやプライベートスペースがあったり、患者層に合わせて対応できるようにしている。多くの患者がリラックスできるよう整えられている。また、クリスマスやハロウィーンの時期になるとラウンジや透析センター内が装飾され、患者の癒しを与えている。

  • ガラス張りの窓と吹き抜けのロビー

「待合環境にも力を入れた理由として、透析患者は月13回の通院が一生続くことになります。その中で患者が少しでもリラックスして過ごしてもらえたらと思ったからです。透析医療は治療内容だけでなく、治療環境やスタッフの関わり方もとても重要です。医師やスタッフが患者に寄り添って透析医療を受けられるように取り組んでいます」と、透析センターの将来性を志賀統括は熱く語った。

透析センター統括/臨床工学技士

志賀 邦秋

医療新聞社
編集部記者の目

今回は「透析センター」への取材を行った。特筆すべきことは、一般的にセンターは本館の中にある場合が多いのだが、同院の透析センターは、別館がすべて、1階~透析センターになっていることだ。さらに、院内の患者に配慮した設計づくりにも感嘆した。「病院らしくない待合室にしよう」がコンセプト。観葉植物を鑑賞したり、ヒーリングミュージックが流れたりしていて、とても心地よかった。臨床工学技士で透析センターを統括する、志賀邦秋さんの熱意も、ひしひしと伝わってきた。

Information

圏央所沢病院

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埼玉県所沢市東狭山ヶ丘 4丁目2692番地1

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休診日: 祝、年末年始

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