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京都桂病院
心臓血管センター

冠動脈治療の変革
(薬剤溶出性ステントから薬剤溶出性バルーンへ)

 2004年にステント表面に薬を塗った薬剤溶出性ステントが登場し、カテーテル治療の問題であった再狭窄(治療部位がまた細くなる現象)は数%まで低下しました。現在、カテーテル治療の第一線は薬剤溶出性ステントです。しかし、金属製ステントの長期留置による問題もあり、生体吸収性のステントが開発されましたが承認には至りませんでした。

 ステント再狭窄に対しては、再狭窄を予防する薬剤が塗ってある風船で血管を拡張する薬剤溶出性バルーン治療が2014年に承認され、細い血管ではステントを使用せず、薬剤溶出性バルーンのみの治療で良好な成績が示されました。ここ数年、血管内の動脈硬化自体を切除し、薬剤溶出性バルーン治療を行なうことで、ステントを留置しなくてもある程度良好な成績が出せることがわかってきました。この方法のメリットは体内に金属を残さないことです。

 ステントを用いずに治療するには血管内からの正確な画像診断が必須であり、血管内超音波や光干渉画像装置を併用し治療を仕上げていきます。薬剤溶出性ステントは非常に優れていますが、当院ではステント一辺倒ではなく、個々の病変に合ったオーダーメイド治療を実施し、ステント使用率は25%まで低下し、70%が薬剤溶出性バルーンとなっています。今後は薬剤溶出性バルーン治療が増えていくと予想しています。

副院長兼心臓血管センター所長 

中村 茂

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