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呼吸器センターを中心に質の高い医療を提供する

【松阪市民病院】 (三重県松阪市)

松阪1
松阪2松阪4松阪市民病院
 
呼吸器センター長・呼吸器内科科長
 
畑地 治
 
はたじ・おさむ●日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医
 
 
 

呼吸器センターを設置しきめ細かな治療を提供

 松阪市民病院はもともと肺がん治療が盛んな病院ではなかったという。14年前、呼吸器内科・畑地治科長を迎えたのを転機に入院・外来ともに患者数が増加し、4年前からは呼吸器内科・呼吸器外科・放射線科を中心とする呼吸器センターを設置し、きめ細かな診療を提供している。
 
 肺がんは死亡率の高いがんとして知られているが、治療の進歩によって、できるだけ余命を延長し、QOL(生活の質)の低下を防ぐことが可能になっている。畑地治科長は次のように話す。「肺がん治療のガイドラインが示すのは、初回の治療と2回目の治療までです。しかし、現在では3回目、4回目の治療を行うのも稀なことではなくなりました。こうした、エビデンスのない段階において患者さんにどのような質の高い治療を提供できるか、医療機関の工夫と努力が求められています」
 

総合病院の特長を生かし必要な治療を迅速に

放射線科 科長 大井 牧 おおい・まき●日本呼吸器内視鏡学会認定 気管支鏡専門医、日本医学放射線学会認定 放射線科専門医、日本核医学会認定 核医学専門医

放射線科 科長 大井 牧
おおい・まき●日本呼吸器内視鏡学会認定 気管支鏡専門医、日本医学放射線学会認定 放射線科専門医、日本核医学会認定 核医学専門医


 肺がん治療は進行度によって治療内容が変化する。同院はどの段階においても、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科に加え、必要に応じて循環器内科、皮膚科、眼科などとも連携して治療を行っている。
 
まず、重要になるのが適切な診断だ。同院では年間で、超音波ガイド下での気管支鏡検査を約500例、CTを用いた生検を約200例実施し、遺伝子変異の発見に努めている。そのために3科合同(呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科)のカンファレンスも行っている。
 
 Ⅰ期〜Ⅱ期は基本的には外科手術を選択し、術後に抗がん剤の点滴を行うこともある。胸腔鏡下手術は、小さな傷から内視鏡を挿入し、体への負担を抑えた手術によって早期回復を期待できる。また、侵襲を抑えるために、適応を見定めた上で、1つまたは2つの肺区域を切除する区域切除を選択することもある。Ⅲ期は抗がん剤と放射線治療の併用が基本だが、腫瘍が小さくなった段階で手術を選択するケースもある。Ⅳ期については抗がん剤と分子標的薬による化学療法が中心となり、最近は免疫療法も行っている。同院における免疫療法は、昨年NHKのクローズアップ現代でも取り上げられた。
 
 呼吸困難への緊急対応が可能な医療機関が限られるなか、同院では悪性腫瘍による気管および気管支の狭窄に対し、硬性気管支鏡を用いたステント留置術を採用している。また、新しい治療薬の使用に伴う、心臓、皮膚、目などの予期せぬ副作用に迅速に対応できるのは総合病院としての強みといえるだろう。
 

三重県から質の高い臨床データの提示を

呼吸器副センター長・呼吸器外科科長 渡邉 文亮  わたなべ・ふみあき●日本外科学会認定外科専門医、日本呼吸器外科学会認定呼吸器外科専門医、日本呼吸器内視鏡学会認定気管支鏡専門医。

呼吸器副センター長・呼吸器外科科長 渡邉 文亮
わたなべ・ふみあき●日本外科学会認定外科専門医、日本呼吸器外科学会認定呼吸器外科専門医、日本呼吸器内視鏡学会認定気管支鏡専門医。


 畑地治科長は自治医科大学で僻地医療も経験し、在宅医療を見据えた医療連携に高い関心を持っている。地域医療において特に重視しているのが、「紹介してくれた先生に患者さんのデータをフィードバックすること」だ。質の高い医療の提供による患者からの信頼、そして、情報共有による医師からの信頼の両方を重視している。
 
 2015年のDPCデータの肺がん症例数を見ると、手術なし613件、手術あり98件となっており、文字通り三重県の肺がん治療を担っていることが分かる。実績を積み重ねる一方、学会発表も積極的に行っている。「薬剤の臨床試験にも数多く参加し、また、三重大学の免疫学教室と連携し、基礎研究にも力を入れています。今後は、豊富な症例を生かし、三重県から質の高い臨床データを提示したいと考えています」と話す畑地科長。こうした同院の取り組みは医療関係者にも知られており、近年は同院を希望する研修医も増え、臨床経験を積んで三重県の医療水準の向上に貢献する、といった好循環が生まれているという。「当院では、患者さんを診療する際のスタンスであるとか、豊富な臨床であるとか、そういった点に魅力を感じてくれるモチベーションの高いスタッフとともに、地域の方々により良い医療を提供したいと思います」と畑地科長は話す。
 
呼吸器センターのスタッフ

呼吸器センターのスタッフ

Information
〒515-8544 三重県松阪市殿町1550番地
TEL.0598-23-1515
【診療科目】内科、循環器内科、糖尿病内科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、神経内科、外科、整形外科、リウマチ科、脳神経外科、泌尿器科、救急科、皮膚科、歯科口腔外科、産婦人科、眼科、緩和ケア科、耳鼻咽喉科、小児科、形成外科、乳腺外来、放射線科、リハビリテーション科、麻酔科(奥田真弘)、病理診断科
【受付時間】8:15〜11:30
【休診日】日・祝
松阪市民病院ホームページ
http://www.city.matsusaka.mie.jp/site/hosannai/
呼吸器センターホームページ
http://city-hosp.matsusaka.mie.jp/kokyuki3/
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