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心疾患と消化器疾患において
チームによる高度な治療を実践

【倉敷中央病院】 (岡山県倉敷市)

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公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構
倉敷中央病院
 
心臓病センター副センター長・心臓血管外科主任部長
小宮 達彦
こみや・たつひこ●1984年に京都大学卒業。フランスのマリー・ラヌロング病院へ留学。日本外科学会認定外科専門医、3学会構成心臓血管外科専門医認定機構認定心臓血管外科専門医など。
 
 
 

充実したチーム医療で、さまざまな心疾患に最新治療を実践

 心臓血管外科主任部長の小宮達彦医師は、同院で20年にわたって心臓血管外科に在籍し診療体制の構築に力を尽くしてきた。徹底してきたのは質の高いチーム医療の実現だ。同科は20年以上の経験を持つベテランから若手医師まで13人が在籍。その層の厚さを生かして365日常に手術に対応するほか、全員でディスカッションして治療方針を定めていく。
 
 「複数の目で確認することで気付く点があります。経験豊富な医師の意見が通ることが多いのですが、若手から良い意見が出ることもしばしばあるのです」と、全員で補いあって質の高さを目指すのが同科の基本的な考え。このチーム医療をベースに、心臓を動かしたまま狭心症や心筋梗塞を治療するオフポンプバイパス術、鼠径部の小さな切開のみで大動脈瘤を治療するステントグラフト、腋の下の小さな切開だけに止める低侵襲心臓手術(MICS)など、新しい術式を積極的に導入している。
 

自身の弁を温存する弁形成術で弁膜症を治療

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 中でも、血液の逆流を防ぐ弁が働かなくなる心臓弁膜症全般の治療に小宮医師は力を注いできた。例えば、開胸せずにカテーテルから人工弁を留置するTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)についても治験を行った全国3施設のうちの1つである。
 
 「広く行われるのは、機械弁や生体弁に置き換える手術です。ただ、機械弁は血液の凝固を抑える薬の服用を要し、生体弁は15年程使えることが少なくありませんが10年後を目処に再手術の可能性があります。弁形成術ならその負担をなくせます」という利点に注目して、10年以上前から術式を探求。現在国内で普及してきた僧帽弁だけでなく、まだ実施施設の少ない大動脈弁にも積極的に行うようになった。
 
 高度な治療が可能とはいえ、心疾患が深刻な疾患であることに変わりはない。それだけに小宮医師は患者との信頼関係も重視。「最初の説明が重要です。時間をかけて不安を抱える患者さんの心理状態や説明への理解度を見つつお話します」と、経験を生かして丁寧に対話を進めるという。質の高い治療と患者に寄り添う姿勢で応えていく。
 

切開を抑え、機能回復も早い腹腔鏡下手術を実践

外科医長 長久 吉雄  ながひさ・よしお●2003年に産業医科大学卒業。日本外科学会認定外科専門医、日本消化器外科学会認定消化器外科専門医など。

外科医長 長久 吉雄 ながひさ・よしお●2003年に産業医科大学卒業。日本外科学会認定外科専門医、日本消化器外科学会認定消化器外科専門医など。


 近年消化器の分野で、積極的に行われるようになった腹腔鏡下手術。数カ所の小さな切開から機器を通して病変を処置するこの手術は、術後の回復が早く、痛みを抑えられる点がよく知られている。「それに加え、腸閉塞の原因になる癒着の予防や、腹筋の温存、更には病変の拡大視による正確性の向上なども期待されます」。そう説明する長久吉雄医師を中心にして、同院でも積極的に腹腔鏡下手術を実施。虫垂炎や胆嚢、鼠径ヘルニアなどの良性疾患から、各臓器の悪性腫瘍まで幅広い疾患を対象とする。
 
 注目すべきは胃がんへの腹腔鏡下手術だろう。長久医師は胃がん手術の主な手法である、胃の下部3分の2を切除する幽門側胃切除からその後の再建までのすべてを鏡視下で実施する。特に再建では、現在普及しつつあるデルタ吻合という方法を国内でも早くから行ってきた。「この吻合法では、術後早くからしっかり食べられるようになるだけでなく、食物が急に腸に入ることで低血糖を引き起こすダンピング症候群も防ぐことができます」と利点を説明する長久医師。腹腔鏡下手術自体が持つ低侵襲性と短期間での機能回復の両立により、患者は手術翌日から飲み物、3日目から食べ物が摂れ、1週間での退院を目指せるという。
 

開腹手術や、内視鏡治療も含め適切な治療を選択

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 質の高い腹腔鏡下手術を提供しながらも、「すべてを腹腔鏡で行うことを良しとはしません。あくまでも目的はがんを治すことであり、その上で低侵襲化を考えるべきでしょう」と、同科では確実性の高さを第一に考えている。それを踏まえ、患者の年齢やがんの位置、進行度などを考慮して、一切腹部を切開しないESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)から腹腔鏡下手術、開腹手術までを使い分けていく。
 
 そこには、難易度の高い手術とされる「膵頭十二指腸切除」も可能な開腹手術の技術や、内科との密な連携も役立っており、時には内視鏡と腹腔鏡を併用したLECSという術式を行うこともある。
 
 同科では各領域を指導する医師を中心としたチームで、より信頼性の高い治療を追求している。「学会や研究会への参加、自主的に行う手術訓練など、医師全員に積極的に手術の質を向上させようとする姿勢があります。それに基づく総合力には胸が張れると思っています」と長久医師は語る。

Information
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〒710-8602 岡山県倉敷市美和1-1-1
TEL.086-422-0210 FAX.086-421-3424
【診療科目】心臓血管外科、外科他41科
【受付時間】月〜金 8:10〜11:00
      土 8:10〜10:30
【病床数】1166床
【休診日】日・祝
http://www.kchnet.or.jp/