整備が進む がん診療連携拠点病院

がん診療連携拠点病院

わが国のがん対策は、がん対策基本法及び同法の規定に基づく「がん対策推進基本計画」により計画的に推進されてきた。その計画の中核を成すのが、がん診療連携拠点病院の整備だ。その内容について、国立がん研究センターがん対策研究所事業統括の若尾文彦氏とがん情報提供部長の高山智子氏にお話を伺った。
全国に広がる拠点病院ネットワーク
 国が指定するがん拠点病院制度は、2002年3月に初めて5つの地域がん診療拠点病院が指定を受けたことに始まり、現在は枠組み、名称なども変わり、453カ所にまで拡大している。内訳は、都道府県における中心的役割を担う都道府県がん診療連携拠点拠点が51カ所、がん医療圏に原則1カ所整備されている地域がん診療連携拠点病院が354カ所、がん対策の中核的機関である国立がん研究センターの2病院、そして特定領域がん診療連携拠点病院が1カ所、がん診療連携拠点病院のない医療圏で、がん治療を担う医療機関として、地域がん診療病院が45カ所ある。拠点病院等となるためには、厚生労働省ががん診療連携拠点病院等の整備指針に定める各病院の指定要件をクリアしていることが必須条件だ。この指定要件は詳細かつ高度な内容となっている。地域がん診療病院においては、拠点病院に比べ、緩い要件となっているが、がん診療連携拠点病院とグループ指定されて支援を受けることが求められている。
 これら450の医療機関は、院内で質の高いがん治療を行うことはもちろん、医療圏内の他の医療機関への情報提供や治療支援、院内外での研修などを行い、地域内のがん医療連携体制を構築して、医療圏内全体におけるがん治療のレベルアップを図っている。また、これらの医療機関すべてに、がん相談支援センターが設けられており、地域住民のがんに関する、あらゆる相談に対応している。
若尾文彦
国立がん研究センターがん対策研究所 事業統括
若尾文彦
役立つWebサイト「がん情報サービス」
 国立がんセンターでは、がん患者とその家族にとって役立つさまざまな情報を掲載した公式Webサイト「がん情報サービス(ganjoho.jp)」を運営している。がんの予防・検診をはじめ、がんを宣告された後に必要とされる不安への対処法、さらには治療後の就労支援などの社会復帰サポートに至るまで、掲載内容は多岐にわたる。
 がん診療連携拠点病院等に関する情報も網羅している。拠点病院の所在地と治療内容を検索できるので、最寄りの拠点病院の場所をすぐに確認できる。各拠点病院のがん相談支援センターの電話番号も記載されているので、直接問い合わせることも可能だ。また院内がん登録の集計結果を閲覧できるデータベースを提供している。
「拠点病院等を含む、院内がん登録を実施している全国約800の医療機関のがん治療に関する情報を、だれでも閲覧することができます。各医療機関の治療総数はもちろん、胃がん、大腸がんなど、がん種別の治療数、病期(ステージ)別の治療数も調べることができます。つまり早期がんを多く扱っている病院、進行したがん患者を多数受け入れている病院、特定の部位のがんを多く治療している病院など、各医療機関の傾向をつかむことができますので、がんに罹患した際の医療機関選択の参考になると思いますよ」と若尾氏は話す。
 このほか国立がん研究センターがん対策研究所では、無料の電話相談窓口「がん情報サービスサポートセンター」を運営(0570-02-3410 受付時間:平日10時~15時)。全国のがん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターの案内や、その利用方法を説明している。もちろん、がんに関する一般的な相談にも対応している。
ぜひ活用してほしいがん相談支援センター
 前述のように、がん診療連携拠点病院には、がん相談支援センターの開設が義務付けられている。国立がんセンターがん対策研究所で研修を受けた相談員が対応してくれる。
 相談内容については、がんに関する事柄であれば特に制約はない。自身のがんの病態や治療方法、がん患者の療養生活、さらには就労に関する問題まで、ありとあらゆる相談を受け付けている。
 当該病院を受診していなくても相談が可能。がんの予防や検診など、がんの告知を受けていなくても、家族や友人でも利用することができる。もちろん無料だ。
 地域内の医療従事者に対しても門戸を開いている。自分が抱えているがん患者の治療方法や、がんに関する最新など、さまざまな支援を行っている。「コロナ禍において、ますますがん相談支援センターが果たすべき役割が大きくなったと思います。コロナ禍で入院を避け、外来化学療法センターでの治療を選択する人がかなり増えています。入院すれば医療従事者が周りにいますから多少なりとも相談はできますが、外来となると自分でコーディネートしなければならなりません。また入院した場合に現在は面会を制限される場合が多く、家族が付き添うことができません。何かと不便なことがでてくるでしょう。こうした方々、どんなことでかまいません、困ったらセンター窓口に駆け込んでもらいたいのです」
 と高山氏は話す。たとえ初期のがんであったとしても、宣告されれば大きな不安にかられるし、家族にも負担がかかる。がん診療連携拠点病院を中心としたネットワークやソリューションを大いに活用すれば、がんに立ち向かう大きな力となってくれるだろう。
高山智子
国立がん研究センターがん対策研究所 がん情報提供部長
高山智子

 
がん診療連携拠点病院等

※『名医のいる病院2023』(2023年1月発行)から転載
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