【連載:在宅医療 北から南から】004 三宅敬二郎(香川)第3回

【連載:在宅医療 北から南から】004 三宅敬二郎 先生(香川)第3回

2025年問題が迫る中、高齢化が加速し、在宅医療が重要な時代となっています。本連載では、在宅医療の現状、課題、未来を伝えることをテーマに、実際の現場で活躍されている医療従事者の皆さまに、明るく、楽しく、わかりやすく語っていただき、在宅医療の認知浸透を図るとともに、在宅医療を検討したい患者様とそのご家族様に、在宅医療を知っていただくことを目的にしています。
4人目は香川で2007年から「在宅診療敬二郎クリニック」を運営されています三宅敬二郎先生です。
3回にわたるシリーズの最終回の3回目は未来編として、三宅先生が目指す在宅医療について、ご自身が行っていることや国・行政にお願いしたいことを語っていただきました。
「教育」と「承継」に注力
—先生が目指す在宅医療、実現に向けて行っていることについて教えてください
私も歳を重ねてきたので、やはり後輩、後任を育てること「教育」に力を入れています。2023年に新たな院長を迎え、私は名誉院長になりました。現在、その院長とともにシステマティックに後任を育てる取り組みをはじめていて、具体的には、岡山大学と連携して研修医を在宅の現場に派遣するシステムを構築したり、家庭医や総合内科診療医の教育プログラムに在宅医療を組み込んでもらうよう進めています。
医学部学生と訪問同行
医学部学生と訪問同行
もう一つは「承継」です。自分が経験してきたように、在宅医療って、おおよそ一人で開業されている先生が多いのが実情で、そうなると跡継ぎがいないとそこでの在宅医療が終わってしまう。でも、今や在宅医療は社会インフラの一つであり、それは避けなければならないので、全国規模で承継するような仕組み作りを進めていきたいと考えています。
—国や行政にお願いしたいことは
僕が思うには、在宅医療は普及してきていますが、問題点を一つ挙げるとすれば、在宅の医療の質かと思います。診療報酬ではそれぞれの診療項目で単価が決まっていますが、やはり提供する医療の質の良し悪しできちんと区別してほしいですね。単に在宅に対応する診療所が増えることを目指すのではなく、質の高い在宅医療の普及を目指していく、在宅医療の質を改革するような、そんな政府の方針を作ってほしいと思います。
きちんとやっているところは、きちんと評価して欲しい、それが僕の希望です。
みなさんと一緒に地域を作っていきたい
—地域住民に伝えたいこと、知ってほしいこと、お願いしたいことがあればお願いします
僕も20年弱在宅医療に関わってきて、随分地域の人ともお話をして、在宅医療について知ってもらったと思っていますが、まだまだわかっていただいていない部分があるので、もっと知っていただきたいと思います。
昔を振り返ってみると、昭和の初めくらいでは7~8割の方が家で最期を迎えていたので、今のように医療技術が進歩して介護保険もあるのであれば、8割は難しいとしても半分くらいは家で最期を迎えるようになってもいいかと思います。その実現にむけては、我々の努力と地域住民の方の理解が大事ですし、地域住民の中でコミュニティを作ったり、地域を作ることに協力していただきたいなって思います。
僕は開業して以降、患者さんは断らないスタンスでやってきましたし、講演依頼などのお願いごとも必ず受けてきました。今後もそこは変えない方針ですので、地域の方々ともっともっと深い絆を作っていって、一緒に地域を作っていけたらと思います。
訪問診療にて
訪問診療にて
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