投稿日: 2020年2月4日 8:57 | 更新:2020年3月9日10:45
一般社団法人日本海員掖済会 名古屋掖済会病院
泌尿器科部長 竹中 政史
たけなか・まさし●2004年、藤田保健衛生大学卒業。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医ほか。
消化器外科部長 加藤 祐一郎
かとう・ゆういちろう●1997年、名古屋大学卒業。日本消化器外科学会認定消化器外科専門医ほか。
名古屋掖済会病院では、2018年にダビンチXを導入し、泌尿器科と外科で活用してきた。
泌尿器科では、前立腺がん手術と、腎がんの部分切除を対象とする。「ロボットでは細かい操作が実現できると共に、出血量が大きく抑えられます。今まで携わった多くの症例でも、輸血をせずに行ってきました」と語る竹中政史医師。その上で前立腺がんでは、できる限り神経を温存するほか、ハイリスクな症例には術前内分泌治療も併用して根治を追求していく。一方の腎がんの部分切除では、腎臓が血流の豊富な臓器であり、術中はそれを一時的に遮断することとなる。故に、迅速さや出血防止が重要となるが、正確な止血や、早期に血流を再開する工夫で、安全性と腎機能の温存を高めている。
開始から現在まで、同科では合併症を起こすことなく症例を重ねてきた。今後は膀胱がんへの導入も目指しており、その準備を進めているという。
外科では胃がんと直腸がんで開始している。もともと同院は両疾患で切開を抑えられる腹腔鏡下手術を積極的に実施していた。それも踏まえてロボットを導入したことで多くの利点が得られたと加藤祐一郎医師は語る。
直腸がんでは、骨盤奥深くの狭いスペースで処置を進めることとなる。体内で自在にアームを動かせるロボットにより、正常な組織の損傷を抑えられる。胃がんでは、縫合が容易になって手術時間が短縮されたほか、膵臓近くの腫瘍の切除にも役立ったという。「その際、膵臓近くのリンパ節の切除も必要です。腹腔鏡では膵臓を押さえなければならず、膵臓を傷つける可能性があります。一方のロボットでは膵臓を避けて病変に到達できるのです」
こうした利点を踏まえ、同科ではテーラーメードでの手術を実践。血管の走行など、一人ひとり異なる構造を術前の検査で見極め、より安全性の高い手術を心がけるという。
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