【連載:在宅医療 北から南から】002 中野 一司(鹿児島)第2回

【連載:在宅医療 北から南から】002 中野 一司 先生(鹿児島)第2回

2025年問題が迫る中、高齢化が加速し、在宅医療が重要な時代となっています。本連載では、在宅医療の現状、課題、未来を伝えることをテーマに、実際の現場で活躍されている医療従事者の皆さまに、明るく、楽しく、わかりやすく語っていただき、在宅医療の認知浸透を図るとともに、在宅医療を検討したい患者様とそのご家族様に、在宅医療を知っていただくことを目的にしています。
2人目は鹿児島で1999年に訪問診療を専門とする「ナカノ在宅医療クリニック」を開業され25年にわたって在宅医療に従事されている中野 一司 先生です。
3回にわたるシリーズの2回目は現在編として、開業25年を迎える「ナカノ在宅医療クリニック」の今や「鹿児島」の特色についてお聞きしました。
在宅患者200人程で、年間80名程を看取っています
—ナカノ会について教えてください
1999年9月に、鹿児島市に在宅医療専門のクリニックであるナカノ在宅医療クリニックを開業にてスタートしました。ICTを駆使した在宅医療のネットワーク(今でいう地域包括ケアシステム)を構築することが、開業時の理念でした。
現在、ナカノ会では、診療・看護・介護をご希望の方へ、ナカノ訪問看護ステーション、ナカノ居宅介護支援事業所やナカノデイサービスなど6つのサービスを提供しています。
自分の好きな場所で暮らしたい、家に帰りたいという患者様の気持ちに寄り添っていく、それがナカノ会なんです。
—全体で医師の方は何人ぐらいいらっしゃるんですか
医師は常勤換算で僕を含めて4人で、うち1人は僕の妻です。あとは、常勤1人、非常勤3人です。その6人で臨時の往診と定期の訪問診療をやってる感じですね。夜間は常勤の先生と僕と半々ずつで今は受け持っています。
—在宅患者さんは何人ぐらいですか
だいたい200人です。うち施設が25パーセントの50人、在宅は150人ぐらいになります。
—そのうち看取りは、年間何人ぐらいですか
年間、約80名くらいです。
訪問診療の様子
規則正しい生活で充実した毎日
—先生の1日を教えてください
5時:起床
6時30分:ラジオ体操(自宅で)
7時:NHKのアサドラを見ながら朝食
8時30分:プレスタッフミーティング(ZOOM)
9時~12時:重症患者の訪問診療、往診
13時~:自宅にてリモートワーク
16時30分~17時30分:ポストミーティング、看護部ミーティング(ナカノ訪問看護ステーションと)
19時~:入浴、夕食
21時:就寝
という1日です。ラジオ体操してから腰痛がなくなりました(笑)
朝はちゃんと自分で朝ごはんを作って食べて、夜も酒のつまみを自分で作って、ノンアルコールビールを飲んでたりで、割とそんなに忙しくないんですよ。
今日ももう仕事は終わっていて、自宅からやっているんですよ
ま、電話は来ますけど、電子カルテも確認できますし、家で仕事は全然できますね。定期の訪問診療は常勤と非常勤の先生がコースで回っていて、往診もその先生が回ってくれるので、僕は末期がんの患者さんとか、ちょっと重い患者さんを朝から何人か絞って診ています。だから、昼にはもう診察は終わって、家で昼ごはんも食べていますよ。昼からはフリーですね。

ケアカンファレンスの様子
 

—では、午後はリモートワークですか
はい、このあとにクリニックのポストカンファ、5時からは看護部の訪問看護ステーションのミーティングに出ます、1時間ほどですね。でもオンライン会議システムになったので随分効率的になりましたね。
これが大体の僕の1日です。たっぷり休みも取れるし、食事もきっちり朝昼晩とってるし、勉強も朝からしてますし、もう本当に充実した生活ですね。

zoomでのスタッフカンファレンス

歴史好きだらこその名所
—鹿児島で必ず行ってほしいところを教えてください
まずは、仙厳園。公園になっていてとても綺麗ですし、桜も見れますし、観光バスのルートにもなっています。あとは、維新ふるさと館、私の自宅の近くになります。幕末の薩摩と明治維新の全てがわかる施設ですね。ちなみに私は加治屋町に住んでいて、西郷隆盛や大久保利通の出生地になります。ここもおすすめですね(笑)。
—必ず食べてほしいもの、飲んでほしいものを教えてください
やっぱり、焼酎ですね。当番でない日には飲んでいますが、実はビール派なんですよ。焼酎は嫌いじゃないけど、飲み過ぎてひっくり返っちゃうですね、だから適当に飲んでいます。でも、鹿児島に来た方はみんな喜んでいますので、おすすめします。

—最終回の3回目は未来編として、中野先生が目指す在宅医療について、ご自身が行っていることや国・行政にお願いしたいことを語っていただきます。
【関連情報】
関連記事
人気記事