【名医からのメッセージ~トップランナーが語る半生】001 中山 若樹(脳神経外科)第7回

【名医からのメッセージ~トップランナーが語る半生】001 中山 若樹(脳神経外科)第7回

各領域のプロフェッショナルである「名医」へ、その生い立ち、医師になったきっかけ、実績、そして未来へのメッセージをインタビュー。 
 
一般生活者へ最新医療を啓蒙、医師へのメンタルブロック解消により病院や医師選びの選択肢の拡大を実現し、個々にとっての最適な医療の受診につなげることを目的にしています。
1人目は脳動脈瘤や脳動静脈奇形などの脳血管障害におけるプロフェッショナル 中山若樹先生(柏葉脳神経外科病院 常務理事・副院長/高度脳血管病センター長)です。
8回にわたるシリーズの7回目は「私の現在位置と未来について(後編)」になります。

第7回:これまで抱いていた「手術を科学する世界」の実現へ
2024年12月、新病院がオープン
—新病院について、教えてください。
新病院の外観イメージ
新病院の外観イメージ
この丸い形、なかなかないと思うんですよね。
これ(3階~6階)が病棟なんです。 半円の形で、割と広いスペースをどーんと設けてて、病室が円形にずらっと並んでいて。
新病院の病棟イメージ
いわゆるナースステーション的なものって、実はほんのちょびっとしか置いてないんです。
ナースたちはそのいわゆるモバイル端末を持って、常に患者さんの周りをうろうろして、寄り添う看護みたいなのがまず1つのポイントなんです。
救急部は1階にあって、MRI、CT、血管造影などの画像部門と直結しています。救急車が入ってきて、ここに患者搬送して、救急処置室となって、画像機器がずらっと並んでいるので、すぐにMRIやCT、血管造影などすぐできるんですね。
救急部のイメージ(黄色矢印が救急患者搬入口、赤枠が画像部門、青枠が救急処置室)
救急部のイメージ(黄色矢印が救急患者搬入口、赤枠が画像部門、青枠が救急処置室)
で、専用エレベータで2階にあがると手術室になります。
手術室は3室ありますけど、そのうち二つの手術室がメインで、その二つの部屋の仕切りになってる壁の中にCTが隠れるんです。このCTが、両方の部屋に侵入してきて、どちらの部屋でも術中にCTが撮れるのと、一方の部屋にはロボットアーム式の血管造影装置もあります。これを「Smart OR」と名付けていて、いわゆるハイブリッドオペ室の拡張版みたいなもんですよね。複数のモダリティーを持ってるハイブリッドオペ室を持ってる施設って大学レベルでも本当にごく僅かなんじゃないでしょうか。しかも複数の部屋にまたがってハイブリッド機能を持つ手術室は、たぶん本邦初だって聞いています。
Smart OR:CTが2つの手術室に入ってきて一方には血管造影装置も組み合わせている
Smart OR:CTが2つの手術室に入ってきて一方には血管造影装置も組み合わせている
—すごい設備ですね、それ以外で注力していることはありますか。
デジタル情報ですね。手術の時って、術野の映像もそうだし、次世代の伝承って意味では、術者の体の使い方とかも結構大事だったりするんですね。
そういう部屋のカメラ映像とか、周りのスタッフの動き方を示すカメラの映像とか、あとはさっき見たような3D画像とか、VR画像だとか、脳波とか、手足の動き方を示すモニターの波形とか、心電図とか、いろんな情報がたくさんあるんですね。
それを手術室の中で画面をいっぱいぶら下げて表示します。 壁にも3面の大きな画面が並んで、そこでいろんな画像を統合して表示します。
デジタル手術室
さっきも言ったようなARとかナビとかの画像を一緒に映すようなシステムで、いろんな画像をこの手術室の中に持ち込んでくる形ですね。いろんな情報ソースがあるんですけど、どういう情報をどの画面にどう出すかっていうのを司るシステムです。
手術室の中もそうですが、外にも出して、外にいるドクターともやり取りをして、 例えば僕が出張に行ってて若手が手術してると「次こうじゃないの」みたいなことを言ったり、 あるいは、僕がここで手術していて、同じの映像を別な仲間の知り合いの先生と共有して「こうした方がいいんじゃないか」っていうディスカッションをしたりだとか、そういうことができるシステムです。


 

いろんなデータと映像がタイムコードを持って記録されていくので、手術で何が起きてるかっていうことをあとで解析したりとか、この手術室の外にいる人間たちが全体を俯瞰して、 あ、次こういうことしたらいいんじゃないかとかっていう指示を出したりとかですね。同じ発想が国内のいくつかの手術室にありますけど、それと同等のことが可能なのはもちろん、僕らの使うのはドイツのメーカーなんですけど、接続する情報源の数と発信先の数は、世界的に見ても他に類をみないほど多いそうです。
さらに、手術室の外にはカンファレンス室を作っていて、ベゼルレスでタイル式の超巨大なデジタル画面を前面に置いて、ここでお客さんを呼んで手術室と通信しながら解説したり、他の医師とディスカッションしようかなと思っています。この手術室とカンファ室は僕らのかなりの肝入れのエリアになります。
今まで大学にいながらずっとやりたいと思ってた「手術を科学する世界」「デジタル化する世界」をここで本当にできる。夢に描いていたハードウェアがほぼ全てそろいます。いままで夢だったものが実現できるんです。
手術を科学する環境がいよいよ整うわけですね。ここを使って色々と駆使して、治療の発展と自分の発展と若手育成っていうことができたらいいなっていう風に思ってます。
—新病院のオープン予定は。
いや、これがですね(苦笑)、最初は2024年9月オープンだったんですけど、でも最近よく言われている人手不足とか物資流通の遅れとか、建築業界にもその影響はあるみたいで、少し遅れてます。
今のところ竣工は今年(2024年)の10月末、11月の1か月間で大型機械とかコンピューターとかを入れて、スタッフのシミュレーション、そして内覧会を開催して、2024年12月にオープンです。
札幌市のあちこちに「2024秋オープン」って看板出して、ずっと意地張っていたんですけど、今は「秋」は外しています(笑)。でも、もうすぐです。冬にはお披露目できます。設計会社のかたも、建設会社のかたも、いつも一緒にディスカッションしながら、いろんなお願いを実現しようと進めてくれていて、本当に感謝しています。
2024年3月末時点での建築現場
2024年3月末時点での建築現場。
—最終回の8回目は「次世代へのメッセージ 次の人へ」になります。
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